販売員だって恋します
「そうなのか?」

これは個人的な感想なんだが、と前置きして水谷は続けた。

「まあ、普通ではないからな。どこまで続くのか…ってところだろう。もともとの財力があるから、簡単には潰れることはないだろうが、経営は楽ではないんじゃないか?上場しているわけではないから、経営状態の確認は出来ないが。」

「そうだろうな…。」
そのような表舞台で、大藤が見たことがないのだから、あまり、積極的な経営をしているとは思えない。

「で、お前が持ってきたもう一つの方な、神崎靖幸。彼はご存知の通り、神崎ホテルグループの三男坊な訳だが、もともとは広告代理店勤務、今はその時の経験を生かして、ホテルグループの企画を担当しているらしい。人物は、なかなかに好評らしいよ。仕事も良くできるし、女の話もない。ただ最近公の場に一緒に姿を見られている女性がいて……」

「楠田由佳。」
「さすが、よく知ってるな。そう、さっきの『くすだ』のお嬢様。すごく清楚で綺麗な人らしいな。なんで、そんな絡みに興味あるんだ?」

大藤がひんやりした目で、水谷を見る。
水谷はさっさとハンズアップした。
< 123 / 267 >

この作品をシェア

pagetop