販売員だって恋します
果たして、亭主がどう考えているのかは、分からない。

けれどもしも、由佳を『くすだ』を存続させるための存在だと、考えていたら?

「大藤?」
「水谷、悪いが調査を続けてもらえるか?ここから先は俺が、金を払う。」

水谷は、腕を組んだ。
「調査員としては、ありがたい話だけどな?俺とお前の関係じゃん?金なんか、いらねーよ。
それに……大藤、気付いてる?本気なんだな、お前。見たことない顔してるから。友人として協力する。」
「そうか……」

その時、大藤の携帯にメールの着信があった。
それを見た大藤がそのクールな顔に、ふ……と笑みを浮かべたのを見て、水谷はぶっ飛びそうになる。

水谷の知っている、大藤が見せる笑顔といえば、作った笑顔か背筋も凍りそうなひんやりした笑顔くらいだ。

──そんな、甘い顔するかー?
「彼女か?」

まあ、聞くまでもないけれど。

大藤には無言で肘で押されただけだ。
それでも、長い付き合いの水谷にはその関係性が分かってしまった。

こいつ、ベタ惚れなんだな……!


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