販売員だって恋します
「だって、久信さんが、弱音を吐くなんて……嬉しくて。」
「弱音?」

そんなものは吐いた覚えはないが、由佳の前では、取り繕うことができなくなって来ているのも事実だ。

「そうだな……由佳に会えないと、寂しいかもな。」

そう言いながら、パジャマの上着の隙間から見えている由佳の肌に、そっと指を滑らせた。
「本当?」
「本当。だから、今日は2日分、抱いてもいい?」

「あ……。」
なにを想像したのか、真っ赤になって、こくん、と由佳は頷いた。

「抱いて、ください……。今日は、好きにして……?」

仕事で数日会えないなど、よくあるはずなのだが、距離がある分由佳も寂しい気持ちになっているのかもしれず、そんなことを言う。

「いいんですか?」
そう言って唇を重ねる。

「ん……。」
「いつもみたいに、泣いてもやめませんよ?」
そう言って、大藤は指の背で由佳の頬を撫でる。
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