販売員だって恋します
「気になりますね。確かに。」
「そうなんです。」

「まあ、でも、今のお話だと、お父様は無理矢理に結婚に持っていきたいとか、そういう訳でもなさそうですし、……何かあれば、私の名前を出して構いませんよ。」

「久信さんの、名前?」
「はい。立場も名前も、使って構いません。本当は、その場にいるのが一番いいんですが。急すぎますからね。その時間は、気にしておくので、電話で連絡してきても構いません。」

「……はい……。」
そう返事をして、由佳は、ついじいっと大藤の顔を見てしまう。
大藤は落ち着いた様子だった。

「ん?由佳?どうしたの?」
「いえ……頼り甲斐あって、カッコいいって。」

「大人ですからねえ。好きな人くらい守りたいんですよ。」
由佳が思っているよりも、もっと大事にされている。

大藤は由佳の頭をぽんと、撫でた。
「心配しなくていいですよ。いつでも連絡してきていいのだし、由佳のことは守ります。」

由佳はその手をキュッと握った。
そして、大藤を見る。
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