販売員だって恋します
いつも通りの淡々とした声に、由佳はもどかしさすら感じる。

「探してくださったんですね」
『まあ……』
「私のこと、守るために、動いてくださった?」
『守りたい、と言ったでしょ』

「会いたいですっ……すごく、会いたい……」
「それは奇遇だな、俺もですよ。」

甘い声に包まれて、ふわりと後ろから抱きしめられた。

「焦りました。絋さんが間に合わなかったらどうしようかと。ここまで、お連れはしましたけど、ギリギリまで迷っていらっしゃったので」

「ここで、待っていたんですか?」
「気になりますから」

くるりと、振り返った由佳は思い切り、大藤に抱きつく。

「由佳?!」

「ずるいっ!本当にずるい人です!こんなに、好きにさせて、どうしてくれるんです?!」

そんな事を言う由佳を、大藤もしっかり抱きしめる。
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