販売員だって恋します
「俺もこんな風に守りたい、と思う人が現れる日が来るとは思わなかった。由佳、あなたの存在だけで、俺がどれほど救われたか……」

荒んだ日々を救ってくれたのが成田で、諦めていた愛情をくれたのが由佳だった。

だから、動いた。

こんな風に動いたのは、失いたくないから、守りたいから。
それだけだ。

コソコソして……!と軽蔑されても、構わない、と思ったのに由佳はそうではなくて、守ってくれた事が嬉しいと言ってくれて、こんなに好きにさせてどうしてくれるのかと言ってくれる。

「由佳、こっち。」
近くに車を停めていた大藤は、助手席に由佳を案内する。

自分は運転席に回って、隣合う距離が近くて、ふと、互いの視線が絡むと自然に顔が近付いた。

初めは唇を重ねるだけのキスが、徐々に深くなり、いつしかお互い深く絡む舌に、由佳は背中を震えさせた。

息を継ぐだけで、いっぱいいっぱいになってしまい、口の中を深く探られて、気持ち良くてどうすればいいのか分からない。
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