販売員だって恋します
「……っは……」
由佳は潤んだ目で、大藤を見上げたけど、大藤もいつもの冷静さをかなぐり捨てたような、熱に浮かされたような表情で由佳を見つめている。

「由佳、息が荒い。どうして?」
「だって息するだけで……もう、いっぱいいっぱいで」

「俺も今すぐ、欲しいくらいです。由佳、抱きたい」
「私も、です……」

車で大藤のマンションに戻った2人は、そのまま、部屋になだれ込むように入り、2人で唇を重ねながらベッドルームに入る。

もどかしげにお互いの服を脱がせあった。

「こんなこと、ないんですけど……」
大藤の熱くて低い声が由佳の耳元を掠める。
「え……」

「欲しくて我慢できないなんてこと……」
「でも、私も……」

お互いがお互いを求めあって、蕩《とろ》け合うような時間を過ごし、由佳が意識を失うようにして眠りについた時、ふと大藤は目を覚ます。

大藤の身体に手を回して、由佳は幸せそうな顔で眠っていた。
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