販売員だって恋します
16.秘書は暗躍する
時間は少し戻る。
水谷のその後の調査で、由佳の兄である絋の居場所が判明し、大藤はその絋の勤める店に行ってみることにした。
雑居ビルの一角で、清潔感はあるけれどこじんまりとした、入口。
ちょうど良い高さの灯籠が置かれて、シンプルでオシャレな雰囲気だ。
大藤はからりと音をさせて引き戸を開けた。
創作和食の店とのことで、中はカウンターと少しの座敷があるだけの店だ。
「お一人様ですか?」
そう声を掛けられてすぐに分かった。
この人物が、楠田絋だ。
柔らかい人を和ませるその笑顔は、少し由佳に似ている気もする。
「いいですか?」
「もちろん。どうぞ」
すっと店の中を指す手の動きは、確かに洗練されている。
1人の大藤が居やすいようにだろう、カウンターの端の席を案内してくれた。
お品書きは手書きで、日々仕入れられるものによってメニューを替えているようだ。
いくつかの単品メニューと、コース料理。
水谷のその後の調査で、由佳の兄である絋の居場所が判明し、大藤はその絋の勤める店に行ってみることにした。
雑居ビルの一角で、清潔感はあるけれどこじんまりとした、入口。
ちょうど良い高さの灯籠が置かれて、シンプルでオシャレな雰囲気だ。
大藤はからりと音をさせて引き戸を開けた。
創作和食の店とのことで、中はカウンターと少しの座敷があるだけの店だ。
「お一人様ですか?」
そう声を掛けられてすぐに分かった。
この人物が、楠田絋だ。
柔らかい人を和ませるその笑顔は、少し由佳に似ている気もする。
「いいですか?」
「もちろん。どうぞ」
すっと店の中を指す手の動きは、確かに洗練されている。
1人の大藤が居やすいようにだろう、カウンターの端の席を案内してくれた。
お品書きは手書きで、日々仕入れられるものによってメニューを替えているようだ。
いくつかの単品メニューと、コース料理。