販売員だって恋します
──美味しそうだな……。
「お迷いですか?」
絋らしき人物は大藤にそう声をかけてきた。
「はい。迷いますね。単品もコースも美味しそうなので」
ふふっと笑う笑顔が魅力的だ。
人を惹きつけると言う意味では、絋は由佳の上を行くかも知れない。
「メニューには記載していないんですが、シェフのおすすめコースもご用意があるんです」
「いいんですか?」
初見の客に隠しメニューなど案内して。
「内緒ですよ。でも、コースほどの量はなくて、単品のように迷う必要がないので、個人的におススメなんです。勝手にご案内しちゃうから、シェフには叱られてしまうんですけれど」
内緒ですよ、と言って、口元に人差し指をあてる様子は、男性ながらもあざといくらいの可愛さがある。
カウンターの向こうで、寡黙そうなシェフが絋を見ていた。
絋はそれに、動揺せず笑顔を返す。
居心地が良い店だ。
それに大きく貢献しているのが、絋なのだ。
「お迷いですか?」
絋らしき人物は大藤にそう声をかけてきた。
「はい。迷いますね。単品もコースも美味しそうなので」
ふふっと笑う笑顔が魅力的だ。
人を惹きつけると言う意味では、絋は由佳の上を行くかも知れない。
「メニューには記載していないんですが、シェフのおすすめコースもご用意があるんです」
「いいんですか?」
初見の客に隠しメニューなど案内して。
「内緒ですよ。でも、コースほどの量はなくて、単品のように迷う必要がないので、個人的におススメなんです。勝手にご案内しちゃうから、シェフには叱られてしまうんですけれど」
内緒ですよ、と言って、口元に人差し指をあてる様子は、男性ながらもあざといくらいの可愛さがある。
カウンターの向こうで、寡黙そうなシェフが絋を見ていた。
絋はそれに、動揺せず笑顔を返す。
居心地が良い店だ。
それに大きく貢献しているのが、絋なのだ。