販売員だって恋します
「ああ……、大藤さん、素敵すぎるから。」
「は?由佳ですよね?綺麗すぎるので。」

そう返したあと、大藤はふっ……と妖艶な笑みを浮かべて、由佳を壁際に追い詰める。
「由佳……」

壁際に由佳を追い詰めるこの状況に、何となく覚えがあった。

大藤は由佳のあごに指をかけて、壁に腕を付く。
近いし、以前よりもっと、もっとどきどきする。

その時の大藤の事を知っているから。
つい、じっと大藤を見つめ返してしまう由佳である。

『由佳……』
と囁く甘い声と、耳元で響く乱れた呼吸を思い出すと、ドキドキする。

潤んだような瞳で自分を見てくる由佳に、大藤は、ふっ、と笑ってそっと頬を撫でた。

「何か、期待しているの?」
「……っ!してません!」

大藤が由佳の口元を手で抑える。
「しーっ……。声が漏れる。」

笑って由佳を制する大藤は、何だか楽しそうだ。

「制服でこんな壁際に追い詰められて、口元を抑えられている由佳って……すごく、エロいですね。」
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