販売員だって恋します
「んん……っ」
こんなところ、絶対に誰にも見せられない!

なのに敏感なところは大藤の動きを感じ取って、快感を拾おうとする。

だ……めっ、それ、イッちゃう……。

ぎゅっと大藤のスーツの肩を掴むと、大藤がその手に指を絡めてくれた。

片手で口元を抑えて、片手で大藤の手を握って、由佳は大藤のくれる快感に身を任せる。

そこに達した瞬間、立っていられなくて、崩れそうになるところを大藤が抱きかかえる。

息を乱す由佳の耳元で、
大藤が「気持ち良かった?」と囁いた。

もうっ!
「……っ、ひどいですっ!」

かくして、冒頭の状況になった訳である。


「今夜はお店を予約してあるので、終わったら一緒に行きませんか?」

「え?」
「いいお店があるんです。」

まるで、デジャブのようだが……こくり、と由佳は頷いた。

そうしてその日の夜、由佳と大藤は、とあるお店のカウンター席にいたのだ。
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