販売員だって恋します
「そうして頂けると助かります。マネージャーとしてもとても優秀なので。」
末森も笑顔で返している。

「今後、成田家の家としてのことをして頂くこともあるかとは思いますが、主人も奥様も健在ですからね。特に翔馬さんや奏さんにはお時間頂くことは少ないでしょう。もちろん、お手伝い頂けると助かる場面もあるのでしょうが。」

社交が大変なのは、由佳も分かっている。
けれど可愛くて華やかな奏は、そんな場所でもきらきらと輝くはずだ。

「そんな場所でも、奏先輩なら大丈夫だと思いますけどね。」
「あの子、そういうところあるわよね。」

「お2人の太鼓判を頂けたら、安心ですね。」
くすくす笑う大藤に、由佳は釘付けになってしまった。

どこに隠し持っていたのか、と思うほどの感じ良さと社交性の高さだ。

しかし役員秘書なのだから、ある意味当然のスキルなのかもしれないなとも思う。
好きな人のオンの姿、というのは普段とは違ってそんな所にも、由佳は胸がきゅっとなってしまう。

あーもう、好きだなぁ。
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