販売員だって恋します
少し考えて、
「いますよ。」
と由佳はにっこり笑った。

「あら、そうなの?」
「はい。いつも、人のためにばかり動いているような人です。」

「由佳には、お似合いかもね。あんたも優しいから。」
花を飾りながら、末森はそんな風に言う。

「優しいか……は分からないですけど、素敵な人だなぁって、思います。私には思いつかないような事をしてしまうんです。それがいつも自分のためではなくて、人のためにばかり、動いているんだもの。尊敬します。」

大藤の事を考えながら、出てくる言葉はそんな感じのものだった。
末森が、ふふっと笑顔になる。

「尊敬出来る彼がいるって、素晴らしいわね。羨ましいわ。」

その時、チャペルに向かう坂を、目立つ2人組が上がってくるのを、由佳は見つけた。
綺麗な顔立ちの2人。

クールな成田と、可愛らしい奏だ。
「奏せんぱーい!」
由佳は2人に向かって大きく手を振った。

可愛らしい白のサマードレスに身を包んでいる元宮奏は、大きな目を見開いて小走りで駆け寄ってきた。
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