販売員だって恋します
「俺もですよ。それに……そんなに嬉しい、を全開にされたら今すぐ部屋に拉致したい位です。」

「え……」
「ても、海外でこんな風に過ごす機会はなかなかないですからね。ご案内しますよ。」

フロントに歩いていった大藤は、さらりと英語でタクシーを依頼する。

どうしよう、すっごくカッコよくて、どきどきしちゃう。

「久信さん、英語もペラペラなんですね。」
「日常会話程度です。ペラペラと言ったら翔馬さんの方がペラペラですよ。あの方は英語で交渉しますから。俺もまあ、タクシーを呼ぶくらいはね。さすがに、コールミータクシーとは言わないですよ。」

ん?私にタクシーを呼んで……ではなく、私をタクシーと呼んでくれよ!くらいかな。

「っふ……あははっ……」
完全にツボに入る由佳だ。

「そんな人、います?」
「いますよ。以前接待でこちらをご案内した時に、お客様が得意げにフロントに言いましたから。」

その時の大藤を想像すると、さらに由佳は笑いが止まらない。

「っ……ど、どうされたんですか?」
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