販売員だって恋します
屋台のように沢山の店が出ていて、食べるためのテーブルなども、簡易のものだが用意されている。

観光客はあまり居なくて、ほとんど現地の人達が、楽しむために集まっているようだった。

「治安はあまり良くないので、携行品は離さないで。お腹は頑丈ですか?」
が、頑丈?!

「すごく楽しいんですけど、衛生面は日本とは比べるべくもないですから。」
「多分、大丈夫です。」

大藤はバーベキューや、山盛りのポテト、焼きそばのような物をどんどん購入してゆく。

現地の人にガンガン話しかけられても、怯むことは全くなく、これも新たに発見した姿なのだった。

いつの間にか、海近くのベンチを確保していた、大藤が由佳をベンチに座らせる。

時刻は日没過ぎで、薄紫色のグラデーションが広がる空に、果てしなく続く海が見える。

打ち寄せる波の音を聞きながら、後ろではガヤガヤとした、夜店の音がして、英語とも地元の言葉ともつかないような言語が行き交っている。

「こんな感じでも良かったですか?ホテルの高級ディナーが良かった?」
この辺は高級料理、と言うとステーキ位しかなくて、と大藤は由佳に箸を渡した。
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