販売員だって恋します
「え……っと、下も?」
「もちろん。」

そんなあれこれを考えていたから、臨戦態勢なのは仕方ない。

由佳は一瞬迷って、ズボンを下ろし、トランクスに手を掛けて、ふと恥じらう。

その間に大藤も、由佳のパーカーを脱がせ、ショートパンツを下げていた。
意を決したように、由佳が下着を下げたので、大藤は足をどかした。

「お風呂、入りましょうか。」
「え……あの、……それ……は」
由佳の目がそっと逸らされつつ、そこ……と、指をさす。

「いろいろ考えていたら、つい、ね。あとでしっかりこの分は回収させてもらいますから、大丈夫ですよ。」

「回収……」
大藤がにっこり笑って、由佳が笑顔を一瞬引きつらせたのは見ないフリをした。

洗面所の分はしっかりベッドで回収し、眠ってしまった由佳を見て、大藤はその髪をさらりと撫でる。

すやすやと寝ているその姿は、愛しくて守りたいものだ。

「必ず守りますからね。」
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