販売員だって恋します
「でも、も、無理です……」
「無理でも……」

ゆるゆると下から軽く突かれるだけでも、敏感な状態では感じ過ぎてしまう。

「んっ……ほんとに無理!いっちゃったから、お願いっ!」

「んー?由佳、女性はね、男とは違ってすぐでも何度でもイケるんですよ?」
「え……」

くるりと体勢が入れ替わり、由佳の顔の横に、大藤が手を付く。
大藤は眼鏡を外して、ベッド脇のサイドテーブルに置いた。

「一人でいってしまうなんて、いけない子ですね。」
由佳の喉の奥が、ごくっ……と音を立てた。

そこからさらに、由佳は甘い声をあげさせられ、そのまま眠りに落ちてしまったのだった。

大藤は隣で寝ている、そんな由佳の頬をさらりと撫でる。

こんな風に気持ちを持っていかれる人に会うなんて、思っていなかったのだ。

『最低ね!身体だけなの?!』
『あなたには、気持ちがないの?』

──あっても、あなた方に捧げるような気持ちはない。
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