販売員だって恋します
9.君に渡す気持ち
だからこそ、大藤がこんなに由佳が欲しい、と思うことが不思議で仕方ないのだ。
今までは、本当に成田の家が全てだったから。
カーテン越しの柔らかな陽射しの中、目を閉じている由佳は、本当にとても綺麗だと感じる。
真っ白でキメの細かい肌と、柔らかそうな頬。
こんなに綺麗で可愛くて……なのに、いつも一歩引いているような奥ゆかしさがあって。
自分に魅力などない、となぜか頑なに思っている。
大藤にとっては、最初に出会った時の反応から、その後思い出した食堂での自然な笑顔も、
そして、身体も仕草も、何もかもが目を惹き付けられて止まないのに。
さらさらの絹糸のような髪が、その頬にかかっていて、大藤はそれを指でそっと除ける。
由佳に向けるその柔らかい表情は、大藤本人ですら気付いていないものだ。
大藤は、由佳と出会った時のことを思い出していた。
あんな風に出会ったのに、恋人のフリに付き合ってくれると言った。
それも妙に落ち着いていて、『最低!』と罵られた大藤に『見ていませんよ。』と。
あのとぼけた表情は可愛かったなあ、と思うのだ。
少なくとも、どうせ私は最低ですから、と自嘲気味だったあの時の自分には、なおさら。
今までは、本当に成田の家が全てだったから。
カーテン越しの柔らかな陽射しの中、目を閉じている由佳は、本当にとても綺麗だと感じる。
真っ白でキメの細かい肌と、柔らかそうな頬。
こんなに綺麗で可愛くて……なのに、いつも一歩引いているような奥ゆかしさがあって。
自分に魅力などない、となぜか頑なに思っている。
大藤にとっては、最初に出会った時の反応から、その後思い出した食堂での自然な笑顔も、
そして、身体も仕草も、何もかもが目を惹き付けられて止まないのに。
さらさらの絹糸のような髪が、その頬にかかっていて、大藤はそれを指でそっと除ける。
由佳に向けるその柔らかい表情は、大藤本人ですら気付いていないものだ。
大藤は、由佳と出会った時のことを思い出していた。
あんな風に出会ったのに、恋人のフリに付き合ってくれると言った。
それも妙に落ち着いていて、『最低!』と罵られた大藤に『見ていませんよ。』と。
あのとぼけた表情は可愛かったなあ、と思うのだ。
少なくとも、どうせ私は最低ですから、と自嘲気味だったあの時の自分には、なおさら。