販売員だって恋します
元宮奏の性格は、ハキハキしていて明るく、会社でもリーダーシップのある人だった。

彼女自身、もともと地方に百貨店を保有していた祖父を持っていた、ということが、調査の過程で分かった。

残念なことに、時代の波にのまれ、その百貨店は大分前になくなってしまったそうだ。

彼女の母は当時、公務員だった父と駆け落ち同然で結婚したようなので、元宮奏自身は、その百貨店とはほとんど関係ない。
今は公務員の父と、専業主婦の母の元に育っている。

彼女は本当に、極々普通の一般家庭のお嬢さんだった。

けれど、好ましい何かを持っている人で、翔馬が惹かれたのも分かる気がした。
性格に、裏表のない人だからかも知れない。

若いけれど、仕事もしっかりしていることには定評があって、ブレアでは固定顧客がついている、という話もあった。
彼女を優良物件と称したはずだ。

だから元宮奏と翔馬のことは上手くいってほしい、と思った。

彼女のあの極普通の感覚と、裏表のない明るさは、闇を抱えている翔馬を必ず引き上げてくれるはずだ。
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