金木犀
ーside 星南ー
目が覚めると、辺りは明るくなっていた。
「そうだ…私。」
手の温もりを感じ、私はその温もりの先に視線を落とした。
ずっとここにいてくれたの?
こんな所で、こんな格好で寝ていたら風邪を引くのに。
医者が自分の体調管理ができなくてどうするのよ。
そんなことも思いながらも、そばにいてくれたことが嬉しかった。
体調が悪い時に、誰かが傍にいてくれることがこんなにも安心できるなんて。
具合が悪い時、喘息の発作を拗らせて入院した時もいつも誰も付き添ってはくれなかった。
医者と看護師、検査に関わる人としか関わりもなかった。
「あっ、星南。
おはよう。
今起きたのか?」
「うん。」
ずっと、湊を見ていると温かい手が私の頬に触れる。
「朝から俺の理性飛ばさないでくれる?」
「は?」
何を言い出すのかと思ったら、意味が分からない。
「そのまま、星南をもらっていいか?」
「ちょっと!朝っぱらから止めてよね!」
近寄る湊の顔を、思いっきり払い除ける。
本当に、何考えてるのよ。
「そんなに照れなくても…。
星南、今のところ体調は平気か?」
「うん。」
急に医者の顔に戻る湊。
湊は、そう言うと私に聴診器をあてた。
あれ?
そういえば、私の担当の先生って誰なの?
湊は、最初に私の診察をしたっていうだけで…
「ん?どうした?ぼーっとして。
具合でも悪いのか?」
そんなことを考えていると、湊は聴診器を耳から外し私の顎をすくった。
「いや、あのさ。
私、小児科からこっちに移ったけどこれから私の病気は誰が診てくれるの?」
たしか、朝の回診で医者が診察に来るんだよね?
「何今更言ってるんだよ。
俺が責任持って診る。
ほら、ベッドネームに俺の名前が入っているだろう?」
湊の指す方向を見て、主治医の所に『白木湊』と書かれていた。
「誰が決めるのよ…。」
最悪だ…。
「そんな不貞腐れるなって。
まあ、本当は別の医師がお前の担当医をしたいって名乗り出たんだけどな…。
2年前も、倒れる前も診察をしたのは俺だから主治医が俺になったんだ。」
そっか…。
ほっとしている自分に、正直驚いている。
あんなに、抱きしめられることが嫌だったのに。
「そんなこと言いつつ、本当は安心してるんだろう?」
相変わらず、勘が鋭い。
「そんなわけないでしょう!
それより、誰よ!
担当医を名乗り出てくれた人って。」
「気になるか?」
「どうでもいいけど、全く気にならないとも言えないから。」
「俺の姉貴。
爽華も、星南の力になれればって言ってた。」
「私、爽華さんがよかったな…。」
「それはダメ。例え姉貴だとしても渡さない。」
「ちょっと…」
その言葉と同時に、私は再び湊に抱き寄せられていた。
「そんな強がっても、俺には通用はしないからな。
それから星南、退院したら俺と一緒に暮らそう。」
私は耳を疑った。
今、なんて言った?
「えっ?」
目が覚めると、辺りは明るくなっていた。
「そうだ…私。」
手の温もりを感じ、私はその温もりの先に視線を落とした。
ずっとここにいてくれたの?
こんな所で、こんな格好で寝ていたら風邪を引くのに。
医者が自分の体調管理ができなくてどうするのよ。
そんなことも思いながらも、そばにいてくれたことが嬉しかった。
体調が悪い時に、誰かが傍にいてくれることがこんなにも安心できるなんて。
具合が悪い時、喘息の発作を拗らせて入院した時もいつも誰も付き添ってはくれなかった。
医者と看護師、検査に関わる人としか関わりもなかった。
「あっ、星南。
おはよう。
今起きたのか?」
「うん。」
ずっと、湊を見ていると温かい手が私の頬に触れる。
「朝から俺の理性飛ばさないでくれる?」
「は?」
何を言い出すのかと思ったら、意味が分からない。
「そのまま、星南をもらっていいか?」
「ちょっと!朝っぱらから止めてよね!」
近寄る湊の顔を、思いっきり払い除ける。
本当に、何考えてるのよ。
「そんなに照れなくても…。
星南、今のところ体調は平気か?」
「うん。」
急に医者の顔に戻る湊。
湊は、そう言うと私に聴診器をあてた。
あれ?
そういえば、私の担当の先生って誰なの?
湊は、最初に私の診察をしたっていうだけで…
「ん?どうした?ぼーっとして。
具合でも悪いのか?」
そんなことを考えていると、湊は聴診器を耳から外し私の顎をすくった。
「いや、あのさ。
私、小児科からこっちに移ったけどこれから私の病気は誰が診てくれるの?」
たしか、朝の回診で医者が診察に来るんだよね?
「何今更言ってるんだよ。
俺が責任持って診る。
ほら、ベッドネームに俺の名前が入っているだろう?」
湊の指す方向を見て、主治医の所に『白木湊』と書かれていた。
「誰が決めるのよ…。」
最悪だ…。
「そんな不貞腐れるなって。
まあ、本当は別の医師がお前の担当医をしたいって名乗り出たんだけどな…。
2年前も、倒れる前も診察をしたのは俺だから主治医が俺になったんだ。」
そっか…。
ほっとしている自分に、正直驚いている。
あんなに、抱きしめられることが嫌だったのに。
「そんなこと言いつつ、本当は安心してるんだろう?」
相変わらず、勘が鋭い。
「そんなわけないでしょう!
それより、誰よ!
担当医を名乗り出てくれた人って。」
「気になるか?」
「どうでもいいけど、全く気にならないとも言えないから。」
「俺の姉貴。
爽華も、星南の力になれればって言ってた。」
「私、爽華さんがよかったな…。」
「それはダメ。例え姉貴だとしても渡さない。」
「ちょっと…」
その言葉と同時に、私は再び湊に抱き寄せられていた。
「そんな強がっても、俺には通用はしないからな。
それから星南、退院したら俺と一緒に暮らそう。」
私は耳を疑った。
今、なんて言った?
「えっ?」