金木犀
4.心の扉
ーside 湊ー
吉と出るか、凶と出るか。
正直分からなかった。
ただ、このまま星南を1人にしておくことがたまらなく不安だった。
見ず知らずの人と、何度も身体を重ねてきた星南。
家に帰りたくないという理由と、きっとどこかで誰かの愛情を求めていたのかもしれない。
正直、俺の提案に星南が頷くとは思っていなかった。
星南はきっと断ると思ったから。
だけど。
もう限界なんだろうな。
ずっと、誰かに頼りたくて守ってもらいたくて。
その行き場のない思いが、星南の中にあったんだろうな。
ほんの少しだけど、星南の表情は少しずつ穏やかになりつつある。
出会った頃よりもずっと。
俺に着いてきてくれるなら、とりあえず一安心だな。
近くにいてくれれば、星南に何かあった時すぐに助けられる。
目の届く範囲にいてくれれば、安心できる。
まだ完全に俺の事を信じることは出来ないとしても、今はそばにいてくれるだけでいい。
そばにいてくれるだけで安心する。
星南は、俺が守ると決めた大切な人だから。
「星南?」
「何?」
「星南の家ってどこにあるんだ?」
アパートやマンションに住んでいるなら、大家さんと話して解約すればいい話だけど、一軒家だとしたら色々と手続きが必要だよな?
「ここから1番近い駅の、目の前にあるアパートだよ。」
「そうか。来週あたりに退院になるから、1度家に帰って一緒に荷物をまとめないとな。」
「そう…だね。」
「どうした?何か、心配なことがあるなら…」
「違うの。
ただ、勝手に解約しちゃってもいいのかなって思って。
名義が、多分母親の名前で契約しているから解約できるのかなって思って…。
そういうのって、未成年の私ができることなのかなって思って。」
星南の言う通りかもしれない。
いくら、星南の母親が音沙汰無くなったとしてもアパートの契約者は星南の母親であって、解約するのも星南の母親でないとできないよな。
勝手に星南を置いて行ったとしても、きっと星南の意思では解約は難しいか。
「たしかに、そうかもしれないな…。
そしたら、自分の必要な荷物だけ家に持って行けばいいよ。
とりあえず、アパートの鍵は大家さんに預けた方がいいかもしれないね。」
「うん。そうする。」
不安な表情をした星南は、安心した表情に変わる。
それを心配していたのか。
割と心配性なところがあるんだな。
「可愛い。」
「は?」
口調が少し粗めな所もあるし、強がっているけど本当は繊細で慎重なんだろうな。
そして、色んなことに気づくことが出来る。
自分のことをどうでもいいような口調と、態度をしているけど本当は1番自分の気持ちや身の回りのことに敏感なのかもしれない。
気づいたら星南の唇に自分の唇を重ねていた。
星南の舌に自分の舌を絡めると、星南の体はビクンと反応する。
その反応が可愛くて、今ここで襲いたくなる。
綺麗に潤んでいる瞳が伏せ目がちになり、その表情が高校生とは思えないくらいに色っぽく、たまらなく綺麗だと思う。
星南の白く細い身体を抱きしめ、後ろへ倒れないように支える。
やばいな…
そろそろ、この辺にしないとな…。
本当はこのまま、星南が欲しい。
だけど、ここは病院であって星南の身体も万全な状態ではない。
軽く息が上がった星南は、俺の肩を押し唇を外した。
「ちょっと、ごめん。」
浅い呼吸になる星南の背中をさすった。
完全に俺のせいだ。
「ごめん。星南。後は、退院するまでお預けだな。」
「もう…。どうして手加減っていうものを知らないのよ…」
途切れ途切れになる呼吸の中で、星南の顔はピンク色に色づいていた。
「怒ると発作に繋がるぞ?」
「…湊のせいでしょ!
もう、早く診察に行きなよ!」
「はいはい、分かったから怒るなって。
星南、何かあったらすぐに言えよ。」
「…分かった。」
星南を再び抱き寄せてから、俺は外来へと向かった。
吉と出るか、凶と出るか。
正直分からなかった。
ただ、このまま星南を1人にしておくことがたまらなく不安だった。
見ず知らずの人と、何度も身体を重ねてきた星南。
家に帰りたくないという理由と、きっとどこかで誰かの愛情を求めていたのかもしれない。
正直、俺の提案に星南が頷くとは思っていなかった。
星南はきっと断ると思ったから。
だけど。
もう限界なんだろうな。
ずっと、誰かに頼りたくて守ってもらいたくて。
その行き場のない思いが、星南の中にあったんだろうな。
ほんの少しだけど、星南の表情は少しずつ穏やかになりつつある。
出会った頃よりもずっと。
俺に着いてきてくれるなら、とりあえず一安心だな。
近くにいてくれれば、星南に何かあった時すぐに助けられる。
目の届く範囲にいてくれれば、安心できる。
まだ完全に俺の事を信じることは出来ないとしても、今はそばにいてくれるだけでいい。
そばにいてくれるだけで安心する。
星南は、俺が守ると決めた大切な人だから。
「星南?」
「何?」
「星南の家ってどこにあるんだ?」
アパートやマンションに住んでいるなら、大家さんと話して解約すればいい話だけど、一軒家だとしたら色々と手続きが必要だよな?
「ここから1番近い駅の、目の前にあるアパートだよ。」
「そうか。来週あたりに退院になるから、1度家に帰って一緒に荷物をまとめないとな。」
「そう…だね。」
「どうした?何か、心配なことがあるなら…」
「違うの。
ただ、勝手に解約しちゃってもいいのかなって思って。
名義が、多分母親の名前で契約しているから解約できるのかなって思って…。
そういうのって、未成年の私ができることなのかなって思って。」
星南の言う通りかもしれない。
いくら、星南の母親が音沙汰無くなったとしてもアパートの契約者は星南の母親であって、解約するのも星南の母親でないとできないよな。
勝手に星南を置いて行ったとしても、きっと星南の意思では解約は難しいか。
「たしかに、そうかもしれないな…。
そしたら、自分の必要な荷物だけ家に持って行けばいいよ。
とりあえず、アパートの鍵は大家さんに預けた方がいいかもしれないね。」
「うん。そうする。」
不安な表情をした星南は、安心した表情に変わる。
それを心配していたのか。
割と心配性なところがあるんだな。
「可愛い。」
「は?」
口調が少し粗めな所もあるし、強がっているけど本当は繊細で慎重なんだろうな。
そして、色んなことに気づくことが出来る。
自分のことをどうでもいいような口調と、態度をしているけど本当は1番自分の気持ちや身の回りのことに敏感なのかもしれない。
気づいたら星南の唇に自分の唇を重ねていた。
星南の舌に自分の舌を絡めると、星南の体はビクンと反応する。
その反応が可愛くて、今ここで襲いたくなる。
綺麗に潤んでいる瞳が伏せ目がちになり、その表情が高校生とは思えないくらいに色っぽく、たまらなく綺麗だと思う。
星南の白く細い身体を抱きしめ、後ろへ倒れないように支える。
やばいな…
そろそろ、この辺にしないとな…。
本当はこのまま、星南が欲しい。
だけど、ここは病院であって星南の身体も万全な状態ではない。
軽く息が上がった星南は、俺の肩を押し唇を外した。
「ちょっと、ごめん。」
浅い呼吸になる星南の背中をさすった。
完全に俺のせいだ。
「ごめん。星南。後は、退院するまでお預けだな。」
「もう…。どうして手加減っていうものを知らないのよ…」
途切れ途切れになる呼吸の中で、星南の顔はピンク色に色づいていた。
「怒ると発作に繋がるぞ?」
「…湊のせいでしょ!
もう、早く診察に行きなよ!」
「はいはい、分かったから怒るなって。
星南、何かあったらすぐに言えよ。」
「…分かった。」
星南を再び抱き寄せてから、俺は外来へと向かった。