金木犀
お風呂から出て、デザートに頼んでいた桃のシャーベットを食べていると、白木湊はお風呂から上がり私の隣に座った。
「美味しそうだね。
1口ちょうだいよ。」
「食べたいなら注文すれば?」
「えー。面倒だから明日海ちゃんが俺に食べさせてよ。」
一体何歳なのよ。
こんな面倒な人は初めてだ。
「自分で食べてよ…」
そう言って、シャーベットを1口口に運ぶと白木湊は私の唇に自分の唇を重ねた。
容赦なく与えられる刺激に耐えきれず、持っていたスプーンを床に落としてしまった。
そんな私にもお構い無しに、湊は私をソファーに優しく押し倒していた。
降り止まないキスが、私の意識を遠のかせていく。
「甘いな。」
ようやく解放されたかと思うと、湊はそう言って私の唇を親指でなぞる。
「桃のシャーベットなんだから…
当たり前でしょう?」
あまりにも色気全開の湊に、私も負けじとそう言った。
「そうか。なら、明日海ちゃんの口の中に入ると余計に甘くなるんだな。」
そう言って、再び湊は私にキスを落とし続けた。
湊は、制服のワイシャツのボタンに手をかけ片手で綺麗に上から外していく。
「あのさ…抵抗とかしないの?」
下着一枚だけになった時、湊はそう言葉にした。
「え?」
「いや、一応お前知らない男に襲われかけてるんだよ?
普通なら少しくらい抵抗するだろう?」
今更、抵抗してどうなるわけ?
「最初から、するつもりだったんでしょう?」
「え?」
「何?抵抗してほしいなら抵抗するけど?」
男性が、ホテルに女を連れ込むなんて最初からその気があるって事でしょう?
小さい子供でも分かるようなこと。
「それなら、遠慮なく。
明日海…抱かせてもらう。」
「勝手にすれば?」
優しく見つめられる視線に耐えきれず、私はそう言い放った。
「ベッドに運ぶから、じっとしてろ。」
ソファーから立ち上がろうとした時、ふわっと体が浮き気づいたら湊に姫抱きにされそのまま広いベッドへ優しく寝かされていた。
「明日海…」