先生が好きです、好きでした◆おまけのお話追加しました◆
「それにしても奈月ちゃん、大きくなりましたね。まさかまた会えるとは思いませんでした」

奈月は真帆さんの膝の上でうつらうつらと船をこぎ始めた。そのタイミングでようやくこちらへ引き取る。

「じゃあ、私、行きますね。奈月ちゃん早くお熱下がるといいですね」

「あ、ちょっと待って!」

立ち上がった真帆さんの手を思わず掴んでしまい、迂闊なことをしたと慌てて引っ込めた。職業柄もあるが、昨今セクハラだなんだのと世の中がうるさいから。

「先生?」

「あ、えっと、あー、僕が言うのもおかしな話かもしれないのですが、真帆さんは僕の自慢の教え子ですよ。これからも元気で頑張ってください」

何だろう。
何か伝えなくちゃと思ったのに、引き留めておいて出てきた言葉はありふれたものだった。

本当は、学生のとき俺のことを好きでいてくれてありがとうと言いたかった。

教員採用試験に立て続けに落ちて、なんとか採用されたのが女子校だった。女子校なんて最初は乗り気じゃなかったんだ。自分には合わないと思っていたからだ。

だけど真帆さんに好かれていることが俺の教師としての一種の自信に繋がった。転職も考えていたのに、いつの間にかこの学校でもやっていけるんじゃないかと思わせてくれた。

真帆さんの成長と共に、俺も教師として成長させてもらったのだ。

ずっと彼女に感謝していた。

「私も、梶先生は自慢の恩師です!」

くしゃりと笑う彼女はやっぱり学生のときの面影も残っていて、懐かしさを覚えて胸が熱くなった。



【END】
< 29 / 29 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:19

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作家の他の作品

表紙を見る
泡沫の恋は儚く揺れる~愛した君がすべてだから~

総文字数/96,026

恋愛(その他)145ページ

表紙を見る
俺様御曹司は無垢な彼女を愛し尽くしたい

総文字数/77,528

恋愛(オフィスラブ)111ページ

表紙を見る

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop