先生が好きです、好きでした◆おまけのお話追加しました◆
***

教室がザワザワしている。
始業のチャイムが鳴っても今日はザワザワだ。学生のノリなのか女子校のノリなのか、たまにそういう日がある。

物理の時間、梶先生が教室に入ってきた。
それだけで私は心が踊る。
起立をして挨拶をして着席をして、そして誰かが声をあげた。

「先生~彼女いるんですか?」

「聞きたーい」

ザワザワな教室が更にザワザワになった。
私は自然と鼓動が早くなってしまう。

散々先生に”好きだ””デートしてください”等と言っていたけれど、よく考えたら先生に彼女がいるかどうか確認していなかった。自分のことばかりで、梶先生のプライベートのことなどまったく気にしていなかったのだ。

私は先生の反応が気になって、事の流れをじっと耐えて待つ。

「さあ、どうでしょう?」

いつもの笑顔でさらっと答える先生。

「え~何それ~。じゃあ今まで何人彼女いたの?」

なかなかに積極性のある同級生は更につっこんで聞く。気になる私はハラハラとするばかりだ。
すると先生は、

「月並みですよ。さ、授業を始めますね」

と、何事もなかったかのように教科書を開いた。私たちは先生の態度に不完全燃焼ながらもおっとりとしたペースに乗せられて、いつも通り授業が始まった。

先生、月並みって?
月並みの基準がわからないよ。

何だか妙にドキドキしてしまって、この日私は授業どころではなかった。
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