恋に気づくその前に
中学生の頃、私は一時期、ボッチだった。
ボッチだったのは言い過ぎた。正確には1人の親友と、一人の話し相手がいた。
親友は、幼稚園から仲の良い、野山結衣。彼女は何でも話せる親友というよりもむしろ、恩人という方が正しいのだろうか?
彼女はいつも、一人でいる私を機にかけてくれる人だった。
そして話し相手は、山岸君は、気さくな性格で男女垣根なしに仲が良かった。
でも、それだけの男の子だった。
勉強もスポーツも、あまり出来たわけじゃなく、顔だって特別イケメンじゃない。
でも、たった2人の同級生としか喋れない私からすれば、それだけでも彼を魅力的に見せるには十分だった。
だからこそ驚いた。
たった3人しかいない私の生活圏の中で、結衣が、山岸君と付き合っていると知った時には。
彼の態度は、クラスの全員に平等に振舞うものだと分かっていた。それでも、心のどこかで期待していたのだろう、彼が私を好きであることに。
その淡い期待は、簡単に破られた。そして可能性がゼロになった時にやっと、彼の存在の大きさが分かった。
私がどれだけ、その淡い期待に胸を弾ませていたかを。
自分と仲良くしてくれる恩人に、実は私もなんて、私には言えなかった。だから気持ちを隠した
でも、相変わらず話しかけてくる彼のことを、突き放したり、ましてや嫌いになるなんて、出来なかった。
だってもう、私はすでに彼の事が――
ボッチだったのは言い過ぎた。正確には1人の親友と、一人の話し相手がいた。
親友は、幼稚園から仲の良い、野山結衣。彼女は何でも話せる親友というよりもむしろ、恩人という方が正しいのだろうか?
彼女はいつも、一人でいる私を機にかけてくれる人だった。
そして話し相手は、山岸君は、気さくな性格で男女垣根なしに仲が良かった。
でも、それだけの男の子だった。
勉強もスポーツも、あまり出来たわけじゃなく、顔だって特別イケメンじゃない。
でも、たった2人の同級生としか喋れない私からすれば、それだけでも彼を魅力的に見せるには十分だった。
だからこそ驚いた。
たった3人しかいない私の生活圏の中で、結衣が、山岸君と付き合っていると知った時には。
彼の態度は、クラスの全員に平等に振舞うものだと分かっていた。それでも、心のどこかで期待していたのだろう、彼が私を好きであることに。
その淡い期待は、簡単に破られた。そして可能性がゼロになった時にやっと、彼の存在の大きさが分かった。
私がどれだけ、その淡い期待に胸を弾ませていたかを。
自分と仲良くしてくれる恩人に、実は私もなんて、私には言えなかった。だから気持ちを隠した
でも、相変わらず話しかけてくる彼のことを、突き放したり、ましてや嫌いになるなんて、出来なかった。
だってもう、私はすでに彼の事が――