憧れの陛下との新婚初夜に、王弟がやってきた!?
1章
温かな日差しが降り注ぐ中庭に私は座っていた。
「アルマ~」
手を振るのは金色の髪の少年で、彼はこちらに走ってきて、私の前に屈んだ。
「綺麗な花があったからアルマにあげる!
ほら、とても可愛いよ!」
そう行ってオレンジ色の花を編み込んだ髪に器用に刺してくれた。
「やっぱりアルマは花が似合うね。きれいだよ!」
出来栄えを眺めた彼はニコニコと私に向かって笑った。
私にとってはあなたこそが美しいのだと言いたいが、照れ臭くて赤くなり俯くことしか出来なかった。
あの眩しい笑顔に、優し瞳。
あの時から私はずっとこの人を思い続けていたのだ。
+++
「私が王妃に内定!?」
「最後は陛下直々にお前を選んだそうだ。どうする?」
「なる!なるなるなる!」
はしたなく、私は父に詰め寄った。断るなんて選択肢はない!
天に登るような気分だった。
小さい頃から憧れていたあの憧れのユリウス陛下の妻になれるならなんでもしようと今まで頑張ってきたのだ。
彼、ユリウス陛下はこのクイニー王国の国王である。
幼い頃から憧れていた。
父と先王陛下が近習であったよしみで、よく宮殿に遊びに連れてかれていた私は、いつも優しく、聡明な3つ年上の彼に幼い頃から恋をしていた。
だから彼に、国王の妻にふさわしい女性になるように、勉強、芸術、社交、体力作り、帝王学からお妃教育まで、日々血の滲むような努力をして、どれも一流と言われるまでに極めて来たのだ。他にも数人いたお妃候補の中の誰にも負けない自信はあった。
ついにこの時が来たのかという思いだ!
あぁ神様こんなにも幸せをありがとうございます。
喜びに胸が熱くなり、これからの生活に胸が高鳴る。
幼い頃大好きだった物語であったなら、こうしてお姫様は王子様と幸せに暮らしましたとさ 完
となる所である。
しかし、実際の所、ここからが物語の始まりなのであった。
否応なくそれを実感したのは、それからしばらく後の事であった。
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