憧れの陛下との新婚初夜に、王弟がやってきた!?
ジェイドは翌週には司令部に復帰した。
彼の復帰を待っていたかのように、近衛も内部の粛清が済んだらしく、警護も平常通りに戻った。
この件で、革新派派閥に属する貴族が数名処断されたらしく、彼らと実行犯の5名、そして手引きしていた数名の近衛の処刑が行われた。
事は王妃を狙った大逆罪である。そこに国王であるユーリ様の恩情などあるはずもない。
そしてその全てが終了した時、ユーリ様は貴族院に向け声明を発表した。
もし万が一、王妃が暗殺されるようなことがあれば、その時は革新派から新たな王妃を娶るつもりはない。卑劣な暴力に屈するつもりはないのだと。
流石に普段、平等だなんだとうるさい革新派もこれには文句も出ない様子だった。
何しろ自分の派閥から暗殺の主犯が出てしまったのだから…。
これで取りあえず、私が命を狙われ続けるというリスクは少なくなった。
あと懸念すべき事項は、やはり公妃のことだろう。
自分たちの働きかけにより王妃を挿げ替えることは実質不可能になったのだ。
それならば彼らが狙うのは、やはり公妃に革新派閥の令嬢を置いて、先んじて王子を生ませることだろう。
ますます早い懐妊が望まれるような状況になり、正直私は焦っていた。
しかし肝心のジェイドは、伏せていた分の仕事が溜まりに溜まっている上、片手が使えない状況で軍司令の執務室に缶詰になっている事が増え、まともに顔を合わせることすら少なくなっている。
このままぐずぐずしているわけにはいかない!そう思った矢先、ユーリ様によって私達はリビングルームに集められたのだった。
久しぶりに見るジェイドは、肩の補綴も取れて、一見すると通常通りだった。
「なんだか、久しぶりだな」
そう言ってわずかに頬を緩めると、私の隣に腰かける。
「傷の調子はどう?」
「もうほとんどいいよ、訓練にも少しずつ参加し始めた」
ぐるりと肩を回して見せて、「大丈夫だろ?」と首を傾ける彼の様子に安堵の息を吐く。
「それにしても、ユーリは突然どうしたのだろうな」
何か聞いているか?と聞かれて私は首を傾ける。
「なにも、ただ時間と場所を指定されただけで」
私の言葉に、ジェイドは眉を寄せる。こんな風に昼間に集めなくても、夜には顔を合わせることができるのに、いったいどうしたのだろうか。
「ごめん、お待たせ」
ガチャっと扉の開く音と共に、ユーリ様とジフロードが入室してくる。
あぁなるほど…多分私とジェイドは同時に、なぜこの時間に私達が招集されたのか…という疑問について理解した。
ジフロードも参加するから、昼間なのだ。
しかしあの一件以来、この部屋にジフロードが入室するのは初めてだ。入室するなり、ユーリ様はジフロードを促して、私達の向かい側のソファに腰かける。
「忙しいのにごめん…どうしても早急に報告して…確認しなければいけない事態が起こってしまって」
正面に座ったユーリ様は、どこか焦った様子で、そして少し苦し気だった。いつもニコニコとしていて、多少の困難には動じない彼女のこんな様子も珍しい。
ここにこうして私達を集めたという事は、ユーリ様の性別に関わって何かまずいことでも起こってしまったのだろうか?胸が鉛を飲み込んだように重くなる。
「とにかく…落ち着いて聞いてほしい」
そう前おいてユーリ様はゆっくり私達を見渡す。
私を含めた3人が固唾をのむ。
「実は…妊娠したかもしれない」
彼の復帰を待っていたかのように、近衛も内部の粛清が済んだらしく、警護も平常通りに戻った。
この件で、革新派派閥に属する貴族が数名処断されたらしく、彼らと実行犯の5名、そして手引きしていた数名の近衛の処刑が行われた。
事は王妃を狙った大逆罪である。そこに国王であるユーリ様の恩情などあるはずもない。
そしてその全てが終了した時、ユーリ様は貴族院に向け声明を発表した。
もし万が一、王妃が暗殺されるようなことがあれば、その時は革新派から新たな王妃を娶るつもりはない。卑劣な暴力に屈するつもりはないのだと。
流石に普段、平等だなんだとうるさい革新派もこれには文句も出ない様子だった。
何しろ自分の派閥から暗殺の主犯が出てしまったのだから…。
これで取りあえず、私が命を狙われ続けるというリスクは少なくなった。
あと懸念すべき事項は、やはり公妃のことだろう。
自分たちの働きかけにより王妃を挿げ替えることは実質不可能になったのだ。
それならば彼らが狙うのは、やはり公妃に革新派閥の令嬢を置いて、先んじて王子を生ませることだろう。
ますます早い懐妊が望まれるような状況になり、正直私は焦っていた。
しかし肝心のジェイドは、伏せていた分の仕事が溜まりに溜まっている上、片手が使えない状況で軍司令の執務室に缶詰になっている事が増え、まともに顔を合わせることすら少なくなっている。
このままぐずぐずしているわけにはいかない!そう思った矢先、ユーリ様によって私達はリビングルームに集められたのだった。
久しぶりに見るジェイドは、肩の補綴も取れて、一見すると通常通りだった。
「なんだか、久しぶりだな」
そう言ってわずかに頬を緩めると、私の隣に腰かける。
「傷の調子はどう?」
「もうほとんどいいよ、訓練にも少しずつ参加し始めた」
ぐるりと肩を回して見せて、「大丈夫だろ?」と首を傾ける彼の様子に安堵の息を吐く。
「それにしても、ユーリは突然どうしたのだろうな」
何か聞いているか?と聞かれて私は首を傾ける。
「なにも、ただ時間と場所を指定されただけで」
私の言葉に、ジェイドは眉を寄せる。こんな風に昼間に集めなくても、夜には顔を合わせることができるのに、いったいどうしたのだろうか。
「ごめん、お待たせ」
ガチャっと扉の開く音と共に、ユーリ様とジフロードが入室してくる。
あぁなるほど…多分私とジェイドは同時に、なぜこの時間に私達が招集されたのか…という疑問について理解した。
ジフロードも参加するから、昼間なのだ。
しかしあの一件以来、この部屋にジフロードが入室するのは初めてだ。入室するなり、ユーリ様はジフロードを促して、私達の向かい側のソファに腰かける。
「忙しいのにごめん…どうしても早急に報告して…確認しなければいけない事態が起こってしまって」
正面に座ったユーリ様は、どこか焦った様子で、そして少し苦し気だった。いつもニコニコとしていて、多少の困難には動じない彼女のこんな様子も珍しい。
ここにこうして私達を集めたという事は、ユーリ様の性別に関わって何かまずいことでも起こってしまったのだろうか?胸が鉛を飲み込んだように重くなる。
「とにかく…落ち着いて聞いてほしい」
そう前おいてユーリ様はゆっくり私達を見渡す。
私を含めた3人が固唾をのむ。
「実は…妊娠したかもしれない」