友達作りは計画的に
校内試合当日の朝、5試合限定の出場だが少し緊張感がありドキドキして目を覚ました



『久しぶりの試合だなぁ……
今日の結果次第で色々と計画が変わっちゃうからな~
団体戦は負けても仕方ないから、まずは個人だけは絶対に4勝はしないとな!』



学校に着くと珍しく斉藤も朝練が早く終わって教室にいて、例の三人組は楽しそうに岡崎に話しかけてきた


「いよいよだね」


「絶対4勝する
斉藤さんならまだいいけどナッチーと富田さんはマジで怖いもん」


朝一から不吉なプレッシャーをかけられた岡崎は座りながら本気で嫌そうな顔で言うと富田が岡崎の肩にもたれかかるようにしながら耳元に囁くように言った


「ムッフッフッフッフッ
せめて3勝してナッチーと由美を回避しとかないとツライ1年になっちゃうよ~」


「約束変わってるし!
夏休みまででしょ」


「あっ やっぱり気付いたか~ アハハハハッ」


「マジで富田さん怖い
斉藤さんと富田さんの位置を逆にして」


「絶対ダメ!
由美は何だかんだ言いながらも優しいから『しかたないなぁ』とか言って甘やかしそうだもん
それに由美は基本的に教室にいないから奴隷になっても面白くないからダメ」



「はぁぁぁ……何だよそれ……
まぁいいや 勝ったら三人とも例の約束は守ってもらうからね」



「おぉっ 岡ちゃんが反抗期になってる~
いいよぉ~ まぁ頑張ってやって由美みたいにカッコいい姿を見せてよ」


岡崎が言うと三人は笑って盛り上がっていたが「ところで一年生って強いわけ?」と聞かれたので一応個人成績を教えた


特待生組は佐々木、新藤、安倍、山田
推薦組は岡崎、横山、宇野、井藤
の8人が一年生チームで出場する



個人成績としては、中学の県大会で重量級準優勝の佐々木と、同じく重量級3位の新藤と横山
中量級では準優勝の安倍
軽量級で準優勝の宇野
隣の県から来た井藤は重量級で優勝


実績で言えば結構いいメンバーが最近は優勝から遠退きくすぶっている古豪の仲浦高校に揃った事が不思議だった



佐々木と新藤は二年生の金ちゃんともう一人強い先輩がいて、四人揃えば来年や再来年は団体戦で優勝を目指せるのではないかという熱い思いで仲浦を選んだ


安倍は二年生に彼の尊敬する先輩がいて、佐々木、新藤、横山がいるので三年生になった時には団体戦優勝が狙えるかもしれないと思って入学を決めた


横山は重量級3位だったのだが、岡崎同様に特待生としてまでガンガンやるかどうかを迷っていて、彼も可愛い子が多いから可愛い彼女を作りたいという気持ちから仲浦高校に入りたいという不純な理由で推薦枠にしてもらったと前に話していた


宇野は軽量級の県大会準優勝で仲浦や名門校など数校から特待生の誘いがあり途中までは仲浦ではなく名門校に入る予定だったが、最初は県外の名門校に行く予定だった軽量級の優勝者が予定を変えて彼と同じ高校に入ると希望を出したので宇野は彼とは一緒にやりたくないと言う理由から誘いのあった高校の中で一番近くて通学のしやすく、軽量級の個人戦ではコンスタントに優勝者が出ている仲浦を滑り込みのギリギリで選んだ


井藤は地元名門校に行く予定だったが、特待生枠が終わってから中学卒業と同時に母親が離婚してこっちに移り住む事になってしまい、母親の住む地域で一番強い高校が仲浦だったので急遽推薦枠として受験したのだが、受験成績も良く中学でも優等生で柔道の成績も個人優勝と申し分ないので推薦での入学だったが片親という事も考慮して授業料は公立校以下にしてもらえたので大好きな柔道に打ち込む気満々だった


山田に関しては、宇野や横山が特待生枠から外された時に彼を可愛がっている金ちゃんや三年生の先輩からの後押しもあり特待生枠に滑り込んだラッキーボーイだ



そんな岡崎と山田以外は実績のある少しクセのあるメンバーでの初団体戦なので、個々に戦うのでチームワークはあまり関係はないのだが纏まりや作戦などもあるから少し不安を持ちながらの校内試合となる事になっていた



「岡ちゃんと山田だけ成績なしか~
まぁ岡ちゃんは仕方ないけど山田以外はみんな凄い成績だね」

「今年は軒並み一年生チームが惨敗してるけど柔道は下克上が期待できるんじゃない?」

「岡ちゃんが負けても他が勝てば休みはもらえそうだから岡ちゃんは負けなよ」



三人ともお気楽な事を言っているが、先輩達も同じような成績で今後三年間はひょっとしたら優勝も狙えるメンバーなので簡単にはいかないし、むしろ負ける確率の方が大きいと言うと「だよね~」と難しい顔をしていたが三人は最前列を確保して応援すると言って何故か楽しみにしている様子だった
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