友達作りは計画的に
放課になり彼女達からは離れて男子と話していた


「岡ちゃんも大変だなぁ」


「見た目は可愛いんだけどね……」


「だよな 富田達だから可愛いすぎて怒るに怒れないよな~
でも先輩達は県でも優勝候補なんだろ?
勝てるの?」


「正直わからん……
レギュラー組までで勝たないと絶望的だね」


「アハハッ リスキーすぎな賭けだな
俺らも見に行くから頑張ってよ」



お昼になると山田が岡崎の所に呼びに来たので弁当を持って行くと柔道部の一年生8人が揃い佐々木が言った


「まぁとくに作戦なんてないけど一応チームって事だけど、まだほとんど話していない人もいるからせっかくの機会だからちょっとみんなで話そうかと思って」


小さい頃から体が大きく真面目な性格の佐々木はキャプションやまとめ役が多かった事もあり、こうした事の必要性が大切だとわかっているのでそう言うとみんなも同意して校舎横の芝生にある木陰の涼しい場所に丸くなって座った


佐々木からすると何人かの先輩は憧れの人らしく、一緒に練習や試合が出来るもいう事で仲浦に入った経緯があるのでまだ午後の授業もあり数時間前なのだが既にかなり気合いも入っていたが緊張もしていた



「岡ちゃん以外は県大会で見てるから実力はわかってるけど、岡ちゃん大丈夫か?」


「くっ…フフフフフッ
今からそんな緊張しまくってる佐々木よりはマシだって」


「いや、笑い事じゃないって~
だってさ、今さら言うのも変だけど強いとは言われてたけど練習ではよく投げられてるし……ほとんど真剣にはやってないだろ?
俺も何度もやったけどケンさんに勝ったってのが信じられないんだけど……
岡ちゃんは全試合に出るから結構重要なんだからな」




佐々木の中ではこのメンバーで一番弱いし休みまくっているのに何故か先輩からも同級生からも可愛がられている岡崎に対して少し不機嫌そうにしながらも優しく性格なので一応気を使って続けて言った


「ごめん 嫌いだから言ってるんじゃなくて、そんな岡ちゃんが謎すぎてさ……
見た目も優しいいい人丸出しな感じだからとても強いとは……」


すると他県から来た井藤も岡崎とは全く面識もなかったので「俺も岡ちゃんは結構好きだけど実力が全くわかんないからちょっと不安だった」と言ってきた



岡崎は彼らが悪気があって言っているわけじゃないし、自分が成績も残していないし練習も手抜きをしているので強くは言えないが、自分から出たいと言ったわけでもなく指名されたから全試合に出されてしまう事になっていたので少し悩むと、一番岡崎と親交がある山田と同じ階級の安倍が笑いながら言った


「岡ちゃん練習だと適当にやるからあんな感じだけど試合は全く別人だから大丈夫だって
佐々木は真面目過ぎるんだって」


「岡ちゃんて試合は身内の葬式で出れなかっただけで俺は岡ちゃんに一回も勝った事ないくらい強いから大丈夫だって」


山田の話は信頼性に欠けるが一年生内でも一目置かれる安倍の言葉には二人ともが「そっか……じゃあ一応信頼はしとくよ…」と完全に納得はしていないがとりあえず了解した


それから話していると岡崎は知らなかったのだが、佐々木は個人戦の一回戦で指を脱臼したのだが自分で嵌めてからテーピングで固めて残りの個人戦を戦い準優勝した事を今まで内緒にしていたのだが新藤がポロッと話してしまった


「マジで?
て事は超強いじゃん」


「だから俺も佐々木がいて他の特待生や推薦が決まったメンバーも聞いたから絶対全国大会に行けると思ったから南海大付属とか東星学園を断って仲浦にしたんだって」



他のメンバーも佐々木がいたり他のメンバーを聞いて、三年生の時に本気で全国大会を目指して入ってきたなど熱い想いを打ち明けていたが、色々と聞くと岡崎の下心しかない高校選びはこの場では絶対に言えないと思って気配を消しながら黙って聞いていた



それから勝ち星予想をしながら話していると、団体戦は上手くいけば
レギュラー組は負けとして、3勝1敗1引き分けになるのではないかという予想になった


「俺もさ、強くはなりたいけど毎月は使わないまでも月一回の休みが取れるって心の余裕は欲しいんだよ
だから何としてでも勝とうぜ!」



しかし佐々木はそう言ってはいたが彼の中では岡崎を勝ち星予想に入れにくく、三年生はレギュラー以外でも普通に県大会でいい所までいけるチームが出来る実力者ばかりが揃っているので、毎試合の予想で引き分けになっている所に岡崎を入れていた



『佐々木って体デカイくせに本当に真面目で心配性だなぁ
まぁあんな練習姿見てても引き分けにしといてくれるのは優しさだよな』



岡崎も怒るつもりも言い返す事もなくただ笑って「頑張ってみるよ」と言いながら聞いていた


しかし普段は部活が終わればそれぞれの方向別のグループに別れて帰るのであまり話していなかったのだが、この機会に色々と話せて打ち解けられたのは良かったと思っていると普段あまり話さなかった新藤が岡崎に言った


「関係ない話だけど、岡ちゃんて何で富田さんと仲良くしてるわけ?
どうやったの?」


すると内容を知っている山田以外の全員も思っていたらしく岡崎に注目するのでナッチーに話しかけられた事からかなり省略して説明した



「そういう事か……」



「だからさ、富田さんと話たいなら普通に話しかければ喋ってくれるから……
あの三人組が一番嫌いなのが、噂話してるみたいに遠くからコソコソ言ってるのを見るとマジギレするから二度と喋ってくれなくなるよ」


「じゃ、じゃあどうしたら喋ってくれるんだよ?
て言うかさ、俺クラスでも女子とどう話していいかわからなくて男子としか喋ってないんだよ
俺もギャルと仲良くなりてぇよ」



「普通に『富田さん、あのさ……』とか話していけは喋ってくれるって
クラスのギャル達も同じじゃない?
……思ったんだけど、ギャルって仲間意識高いからクラスメイトは嫌いな人以外はフレンドリーだから話しかければいきなりだとビックリされるけど嫌われてなければそのまま普通に話してくれるよ」



「マジか~ あぁぁ……でもその一言目が超ハードル高いわ」

「だよな 俺、絶対に怖い人だと思われてるもん」


など、そんな事を真剣に話していると、普段ならいきなり話しかけるようなネタはないのだが『今日もしクラスの女子が来ていたらみんなとりあえず一言声をかけてみよう』という柔道とは全く関係ない目標が出来てしまった



「佐々木も恥ずかしかったら人見知りしない山田とか連れてって声かけてもらえばいいじゃん」


「おぉぉ そうか
山ちゃんお願いします!
俺も女子と喋りたいんだよ」


「アハハハハッ
まかせとけ!」


「佐々木よりも俺なんて他県から来てるから知り合いが一人もいないんたから俺も手伝えよ」


お調子者で人見知りしないギャル好きな山田はついでに自分も違うクラスの女子と友達になれるからと彼らの橋渡し役を喜んでかって出ていた



本来の目的とはズレてしまったが一年生同士でかなり打ち解けて今までにないようないい雰囲気で校内試合に挑める事となった


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