友達作りは計画的に

初日はナッチーや周りの人と仲良くするのに手一杯だったから気にしていなかったのだが入学式初日から風邪で二人が休んでいたうちの一人の男子は翌日登校してきて何となく打ち解け出したクラスにもすんなりと馴染んでいて忘れていたが、最後の一人が登校してきたのは入学式から四日後の金曜日だった



朝、教室に行きいつものように隣の席のナッチーと話していると廊下が何やら普段とは違う感じでザワザワとしだしたので「何かやってる?」と教室の入り口を見ると二人は驚きで目を見合せた



入り口に立っていたのは女優のような整った顔立ちに大人びた雰囲気を纏ったストレートのロングヘアーが似合う美女が少し不機嫌そうに教室内を少し見ていた



「何あの超美人……こんな人が仲浦にいるんだ? 先輩かな?」


「ホントだ
て言うか、もうあの可愛さは高校生レベルじゃないよ
私もあんな先輩と仲良くなりた~い」



二人が彼女を見ながら話していると、彼女はキョロキョロしながら近くにいたクラスの女子に話しかていた



「誰かを探してるのかな?」


「あの不機嫌さからいって誰かとトラブってるっぽいくない?」



女子に聞き終わると彼女はおもむろに歩きだし今まで空いていた真ん中の後ろ側にある欠席していた最後の一人の席にカバンを置くと少し不機嫌そうに座り足を組んでため息をついた



「んなっ えっ!? 嘘っ?
あの席ってたしか休んでた富田さんって子の席だよね?
まさかあの子が富田さん?」


「うわぁぁぁ……あれが高1?
岡ちゃん、ヤバくない?
あの子がクラスメイトだって……」



最後の一人の登場だけでも少しザワつくのだが、それが圧倒的な美少女だったとわかると教室内だけでなく廊下にも他のクラスから人が集まり、まるで芸能人が来たみたいなザワつきになっていた



「すっげ-可愛い
マジでか……
ナッチー、友達になってきなよ」


「え……不機嫌そうだけど清楚美人すぎてギャルの私は近寄りがたくない?」


「今さっき仲良くなりたいって言ってたじゃん」



「ニャハハッ でもさ、でもさ、超可愛いけど何か陰がありそうな訳ありクール美人って感じだよね
ん~っ でも岡ちゃんの命令だからちょっくら行ってこよっかな」


「俺の命令に従うような人じゃないでしょ
素直に行ってきなよ」


「アハハッ
さすがの私もあそこまで美女すぎると何か理由がないと行きにくいし~
まぁとりあえず行ってくるよ」



最後の一人は美人すぎて近寄りがたいのもあるが、不機嫌丸出しだったので他のギャル達もコソコソ話していたがさすがの彼女達でも誰も話しかけれずに尻込みをしていた

さらに隣の席の男子はオドオドしていて近寄りがたい雰囲気の中ナッチーは全く空気を読めない子みたいなふりをして笑いながら彼女の前の席に座るとあの美女もナッチーを直視した


ナッチーはいつもの調子でフレンドリーに話しかけると彼女も一応何か受け答えをして会話が成立している様子だった



『あの勇気凄いな
普通に話してるし……
本当にナッチーにNGはないのかな?』



何を話しているのかはわからないが、眉間にシワを寄せながらも彼女は頷いたりたまに少しクスリと笑ったりしていて、授業時間前になるとナッチーは戻ってきた



「どうだった?
怖い人?気だるい人だった?」


「全然そんな事なかったよ~
何かね、生理前のダルさと風邪が一緒になって超テンション下がったから熱が出たって言って来なかっただけみたい」


「ヤンキー女が体育を休む言い訳みたいな理由……」


「アハハハハッ
元ヤンでもないって言ってたよ
超可愛いけど全然普通の子!
今日のお昼を一緒に食べる約束したから岡ちゃんも一緒に食べるかい?」


「一緒にいていいの?
それならお願いします」



あんな可愛い子と話せるチャンスに浮かれていると、授業か始まり後半になった時にナッチーはノートにネコのオリジナルキャラの絵を書いて、そこに吹き出しを付けてから指でチョンチョンッと絵を指して岡崎に見るように合図を出してきた



『富田さん、生理が重いだけで生理が終わったら結構話す子だと思うよ』

『そっか』


岡崎もノートの隅に一言返事を書くとナッチーは吹き出しの中を消して再び書き始めた



『ザワザワしながらコソコソ話されるのはイラッとするみたいだから岡ちゃんも気軽に話せば普通に返してくれると思うから仲良くなりたいならお昼はちゃんと話しなよ!』

『了解です!
でも緊張します』


『私の時とはずいぶん対応が違いますなぁ……
このまま泣いてもいいですか?』
と書いてネコが泣いてる絵に書き換えた



『絵、上手いね
ナッチーは俺が緊張してたのを無視してズカズカ踏み込んで来たからそう感じてるだけで俺はメッチャ緊張しながら話してました!!』



するとお腹を抱えて大笑いする絵と頭をかきながら少しお辞儀をする絵を書いて、それぞれに吹き出しを付けた


『あっ どうも はじめまして
私、ナッチー様の生き写しのネコナッチーです!』
『ギャハハハハッ
そう言えば一言目の挨拶を緊張しまくりで超噛んでたもんね
君は意外とウブな子ね~』



『うるさい!
て言うかナッチー様はそんな巨乳じゃないよ』



『お前、授業終わったら絶対殺す!!』


そう書いて少し笑いながら歯を見せて威嚇するように睨んできたので岡崎は思わず笑いそうになってしまった


『すいません』


『授業に集中できないから邪魔しないでください
べぇ~っ!』



授業中にこんな事をしたのも初めてで妙にドキドキしながらも少し楽しみながらやっていた



放課になるとナッチーはいきなり岡崎の頭をはたいてから肩に肘を乗せてもたれてきながら小声になって言った


「さっきの暴言の罰じゃ!
もうCカップくらいはあるから!」


「ブッ……何を自信満々に言ってんの……
て言うかそれ普通男子に言うか?」


「フフフッ
別に見せてるわけじゃないから平気じゃない?」


「いや、まぁそうだけど……本人からそんな事言われたの初めて」


「え~っ 変かな?
じゃあもう他の人には言わないどこ……」



ギャルのイメージとしてああ言えばこう言うといった面倒なイメージがあったのだが、彼女は基本的にはそうだが意外と素直に聞き入れてくれる所もあるので岡崎としては付き合いやすく、隣の席という事もあり何だかんだ言いながらもクラスで一番話す相手になっていた
< 5 / 18 >

この作品をシェア

pagetop