友達作りは計画的に

お昼休みになるとナッチーは彼女に手招きするとあの美人が少し微笑みこちらに来た



『近くで見たらさらに可愛い~っ
あれ? でも彼女の名前って何だったっけ?
ヤバい 緊張し過ぎて頭が……』



あまりの緊張から名前すら思い出せなくなっていたが「ふぅぅ……机を動かすのも面倒……」と気だるそうにしながらナッチーの前の席の椅子を後ろ向きに回転させて座ると足を組み岡崎を見て少し微笑んだ


「おぃっす! 新入りっす
岡ちゃん……だったよね?
私は『富田ツバサ』
よろしくね」



さっきまで不機嫌そうにしていた彼女が微笑んだだけで可愛い過ぎる笑顔に岡崎の心臓はバクバクとして緊張がさらに押し寄せてきたが彼女の発言にはクスッとした



「ハハッ うん
と、富田さんて美人だけど面白い人だね」



するとナッチーもお弁当を出しながら岡崎を見た


「でしょ?
名前からして『富田ツバサ』だから見た目も名前も超可愛いくてマジで羨ましい
私なんて『鬼頭』だから『亀頭』って言われるしさ~」

と、発音のイントネーションを変えて表現をすると思わず富田と岡崎は笑ってしまい、富田は目を細めて何か企んだ顔をしながらナッチーを見た



「ハハッ
でも亀頭さんだからしかたないよね」


「あんたわざと発音変えたでしょ!
ムカつく~っ
だから自己紹介では仕方なく言うけど、私の中で『鬼頭さん』は封印してみんなには『ナッチー』って呼んでもらうようにしてるんだから!
て言うか初対面でよくイジってこれるね」



ナッチーが頬っぺたを膨らませて富田を見ると彼女は少し対抗するような目力で笑いながら言った



「え~っ だって初対面であの状態の私に話しかけてくる人だから大概大丈夫かと思ってぇ
アハハッ」


「ハハッ
ツバサちゃんとは何か気が合いそう」


「私もそんな気した」




岡崎も初日にナッチーからいきなりあだ名で呼ぶように言われたので彼女はちょっと変わった子かフレンドリーすぎる子なのだと思っていたが、そんな理由からだとわかると女子なら気にするだろうと納得して一つ謎が解けてスッキリした気分になった


みんな弁当を出して食べながら話していたのだが、富田はギャルと言うより美人な歳上お姉さんといった風貌で、注目されても堂々とした貫禄で座る彼女と明るくて元気な派手ギャルのナッチーの組み合わせは少し違和感があった
しかし、そんな二人と一緒に食べる昼食は美味しいと言うよりは『何で岡崎も一緒にいる?』という周りの男子からの刺さるような視線が痛くてかなり食べにくかった



「アハハハハッ
二人とも面白い人で良かった……
でも、たぶん週末辺りから生理だから終わるまではさらに超不機嫌だから二人ともあんまり気にしないでね
もうね、入学直前からこうなったから超テンション下がってさ……終わるまでは休もうかと思ったけどさすがに一週間以上休んで初登校だとメッチャ入りにくいから1日だけだと思って渋々来たんだよね
もう帰りたいよ」


「確かにいきなり一週間来なかったらマジで入りにくいよね
でもこれ以上不機嫌な感じ?」


「うん 年に何回かはね……
もうちょっと不機嫌になるから元ヤンみたいって言われるし、無駄に言い掛かり付ける可能性もあるから終わるまでは無視しといてくれていいからね」


「わかる~っ 
生理だと超イライラするもんね
私は別に気にしないからいいけど岡ちゃんはすぐへこみそうだから近寄らない方がいいかもね」


「アハハッ
じゃあ生理中にわざとここに来てストレス解消でメッチャ言い掛かりつけて絡んでやろっかな」


「授業中にナッチーに絡まれて放課に不機嫌な富田さんに絡まれたら最悪じゃん」


「私絡んでないし~っ
岡ちゃんがあんな事言うから殴っただけだもん」



富田にあの絵の話をしてナッチーがノートを見せたら笑っていた


「あはっ かわいい~っ
て言うか何、あんたらは授業中にこんな事して……付き合ってるの?
しかも自己紹介時に体だけがリアルでキモいんだけど!
乳首まで書いてるじゃん」


「付き合ってないよ~
授業中の暇潰しに付き合ってもらっただけだって
まぁ乳首はちょっとしたサービス~」


「乳首超立ってるから発情期?
アハハっ」


こういう話は絶対にしないと思っていた富田がノリノリでナッチーの下ネタに入ってくる事に驚き岡崎は唖然としながら二人を見ているだけになっていた



「……ぁぁ~っ 面白かった
でも二人は遠くからコソコソ話してるだけの人じゃなくて良かったよ
こっち見てコソコソ言ってるくらいなら話してこいよって思ってマジでイラッとするからね
二人は高校入って初めての男子と女子の友達一号だからこれから仲良くしてね」



岡崎はナッチーに誘われたから話せただけだが、富田本人からそう言われた事に嬉しさがあった



「こ、こちらこそよろしく」



放課も終わりそうだったの岡崎がトイレに行こうと廊下に出ると違うクラスの男子も複数富田を見に来ていて、彼らから視線を浴びせられたが無視して歩きだすと後ろからクラスの男子がきて肩をくんできた



「岡ちゃん、富田と知り合いだったの?」


「いや、ナッチーが俺まで巻き込むからさ……富田さんとは全くの初対面だから超緊張した」



男子達は放課に話しかけに行ったのだがあの不機嫌丸出しな対応をされてしまい少しヘコみ気味になっていたのだが、岡崎とナッチーとは結構笑いながら話していたので羨ましさから聞きに来たようだったので経緯を説明すると納得していた


しかし彼らの事を富田が既にさっき『ああいう人達が後から話しに来ても心は開けない』と言っていた男子達だったのだがその事までは言えずにトイレに向かった
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