友達作りは計画的に

授業が始まってしばらくするとナッチーは黒板を写していると思ったらまたノートに絵がチラッと見えたので少し目を向けて見ていた



『プリンありがと
実は超嬉しかったよ!!』



『どういたしまして
て言うか素直に言えば良かったのに』


するとしばらく手が止まり前を向いて無視しているのかと思っているとまたサラサラと書いていた


『ツバサに買ってきたおこぼれで喜んだらちょっと惨め……と思ってさ
岡ちゃんの優しさに素直にお礼は言っておこうと思いまして……』



岡崎の想像している派手ギャルのイメージとは違う彼女にほっこりして少し微笑みながら返事を書いた



『ついでじゃなくてプリンはナッチーの分として買ってきてるよ
ちなみに俺は学食でプリン食べてきた』


『あはっ 
ちょっとドキッとしちゃったゼ!
気分良くなったからちゃんと授業受けま~す
ありがとね』



彼女は授業中もわからなかったり迷うと顔にすぐに出るのは数日見ていてわかってきていて、そんな彼女がわかりやすく急にニコニコして退屈な授業を受けだしたので『女子は本当に甘い物が好きだな』と思って単純なナッチーを見ていた




数日後、富田も生理が終わるとあの不機嫌なやさぐれ感もなくなり普段はクール系ではいるが周りの女子ともケラケラ笑って仲良く話す明るい人になっていた



『これが本来の富田さんか……可愛すぎる
今の状態で話しかけられたら緊張しまくりだわ』



岡崎もそう感じていたが、そうなると当然のように今まで近寄るのを躊躇っていた男女が多数彼女の周りにも集まるようになり、富田も普通に対応はしていたが面倒になってくると髪の毛をかき上げながら「さっきも答えたから面倒」と面倒臭そうにあしらう事もしばしば出ていたが、男子はそれさえも嬉しそうにしていた



『あの人、女王様だな~
て言うかよくあんなあしらわれ方してるのにあの男子達は心折れずに居られるんだ?』




男子に対しては上から目線で接している彼女だが、とくに話しかけに行かない岡崎はナッチーが友達の所に行ってちょっかいもされないと安心して寝ようと思い座ってボーッとしていると、いきなり後ろから「何黄昏れてんの」とニヤニヤして肩を組むようにもたれてきた



「うぉっ 富田さん」


「ハハッ もしかして寝ようとした?」


「うん」


「寝かさな~い
ナッチーもいないから私が代わりにお喋りしてあげる」


彼女はそう言うとナッチーの席に岡崎を向いて座りいつものよう足を組んで微笑みかけてきた

可愛すぎる彼女に照れもあり少しニヤケそうになるのを堪えながら素っ気なく言った


「いやっ 富田さんは座っとけば誰か話しかけてくるんだから俺を構わなくても……
マジで眠いんだけど」


「ヒド~イ
せっかく眠気を覚ましてあげようとしてるのに~」


「フハッ フフフ……
もぉ……しつこいなぁ~」



一瞬にして学校のアイドルと化した彼女から気にかけてもらえるのは嬉しい事なのだが、緊張しすぎてナッチーがいなければ何を話したらいいかすらわからないし、この後に絶対男子からまた何か言われるのはわかっているからそれが一番面倒なのだが、やはり彼女とこんな近くで二人で話すと喜びと緊張しか頭になくなってしまう


そんな中で空気を読まずに話に入ってこようとする男子が数名必ず来てしまう



「岡ちゃんどうしたの?」


すると富田は一瞬少し目付きが変わるがすぐに元通りになり「岡ちゃんが寝ようとしてるから邪魔してるだけ~ クククククッ」と彼女は陽気に笑う


「富田って岡ちゃんイジメるの好きだな」


「イジメじゃないし!
目を覚ましてあげようとしてるだけだし」



岡崎もこういうやり取りは面倒なので「起きたから戻って」と富田を追いやろうとした


「うわっ せっかく協力してあげてるのに超ムカつく」と足を伸ばして岡崎の足を軽く蹴ってきた


「折れる」


「アハハッ こんなんで足が折れるわけないでしょ」



そんな彼女に絡まれるのにも慣れてきたある日、富田の登場で岡崎もすっかり忘れていた催促をされる事となった
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