気怠いお隣さんと恋始めます!
「正式に部長になるのは年明けからですが、今日から引き継ぎ諸々でお世話になります、柳です。皆さん、これから宜しくお願いします」

自分の耳も疑った。
だって、すごく聞き慣れた声で自己紹介をしているその人は、部長だと紹介されているその人は、銀縁のフルリム眼鏡を掛けているけれど、紛れもなくイチさん、だったから…

しかも、にっこり感じの良い笑顔まで…!

「…イケメン」
「…若い」

隣で美鈴先輩と千葉先輩がこそっと呟いたのが聞こえた。

…えーっと。
あれは、イチ、さん、なの?

私の知っている、お隣に住んでいて表情筋停滞気味の、あのイチさん?

…いやいやいやいや!
私の知っているイチさんは、あんなににっこり笑えないでしょうよ!

はっ!あれか、イチさん実は双子で、あれはイチさんの兄か弟か!

もしくは、世界に3人いるとされているそっくりさんか!

でもそんな妄想は、イチさんと目が合った瞬間に砕かれた。
だって、イチさんがとても驚いた顔をしていたから。
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