気怠いお隣さんと恋始めます!
わかったよ…そう言って今度は少し強くつねってくれた。

「…痛い」

どうやら、夢ではないらしい。

「…アンタたち、さっきから何やってんの」

「…美鈴先輩、外回り、行ってきます」

「…え?アンタ事務じゃん、外回りないじゃん。何を言っている」

「…え⁉︎緒原、ちょ、待って!」

そう言って、怪訝な顔をしている美鈴先輩と、なぜほっぺをつねらされたのかさっぱり分からないという顔をしている千葉先輩を残して私は営業部を後にした。


ーーベランダで会っている時、多分仕事の話をしたことはほとんどない。
辛うじて私は事務職で、イチさんは中間管理職、みたいな会話はうっすらした記憶がある。

まさか、同じ会社だなんて…
いや、千葉先輩が社長が他所から引っ張って来たって言ってたから、もともとは違う会社だったのか。

でもまさか、イチさんと上司と部下という関係になる日が来ようとは…
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