気怠いお隣さんと恋始めます!
ああ、本当に、どうしてこの人はこんなにも簡単に私に触れてくるのだろう。
触れられる度に、私の心の奥の1番柔らかい部分がきゅう、と締め付けられることをこの人は知らない。

頬を包まれたままじとり、とイチさんを見つめる。

するといつもは気怠いその瞳の奥が揺れた、ように見えた。

そして気づけば唇に柔らかい感触。

それはまるで、啄むように。
軽く触れたそれは紛れもなくイチさんのそれで。
脳みそが、咄嗟に理解出来ない。

イチさんに、キス、された…?

唇は離れたけど、吐息が掛かるほどの至近距離で頬は包まれたまま、

「…小夏、そのギャップはズルい」

イチさんは言う。

「…ギャップ…?」

「さっきまでリスみたいで可愛かったのに、今度は顔赤くして目潤ませて俺を見るその顔。エロい。そんな顔、どこに隠してたの」
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