ワーホリで本当の恋を見つけてしまいました。
彼は悲しげな表情でグラスをグイッとあおった。
「そんな飲み方したらダメですよ。」
「分かってる。けど…気持ちの整理がつかないんだ。」
彼はきっと何かあったのだろう。
昨日教会で泣いていたのもこのこと?
昨日会ったばかりの彼に聞き出すようなことはできず私は黙ってしまった。
「1週間前に祖母が危篤だと連絡が来たんだ。俺は母を早くに亡くし祖母に育てられたから祖母は俺にとって母のような人だった。」
ポツポツと話し始める彼に耳を傾け、頷く。
「祖母は俺を誇りだと言ってくれててさ。一流のホテルで働き始め、海外赴任までする俺を誇りだと言ってくれてた。それに応えなければ、と俺も頑張ってきた。授業参観も、面談も忙しい父に代わり祖母がきてくれていた。行事も全て祖母だった。」
「…」
「そんな祖母が危篤だと連絡が来たのに俺は動けなかった。仕事はもちろんあるし、何せニュージーランドだ。距離がある。そう思って動けずにいたら3日後亡くなったと連絡がきた。俺があの時すぐに帰る決断をしていれば間に合ったんだ。祖母は3日間待っていてくれたのに俺が…」
とまた苦悶の表情を浮かべ目元には涙が流れている。
男性でここまで泣けるなんてなんて気持ちの優しい人なんだろう。
「ごめんな、こんな話で。しかも毎回泣いていて情けないよ。」
「そんなことないです。泣きたい時に泣かないのは間違ってます。昨日も言いました。おばあさまのこと大切にされてたんですね。」
「そうだな、2歳の頃から育てられていたから返って母の顔を知らない。祖母は俺に母がいないことで辛い思いをしないよういつも支えてくれていた。」
「そうなんですね。本当に優しいおばあさまだったんですね。そんなおばあさまのことを悼んで何が悪いんですか。最後に会えなかったのは残念ですがおばあさまにとってあなたは誇りだったんですよね。きっとわかってらっしゃったと思いますよ。こんなにおばあさまのことを思って泣いてると知って返って心配されてると思いますよ。」
「…」
「おばあさまはあなたにとってのお母さんなんですよね。だからあなたが悲しんでくれていること気持ちを嬉しいと思うけど、それよりもとっても心配されてると思います。最期に会えなかったことをこんなに苦痛に思わせてしまった、と。」
「そうか…。」
「お母さんって子供のことをいつも考えてますよね。子供を不幸せにしたいと思うお母さんはいませんよ。だからお母さんの代わりだったおばあさまもそうでしょう。」
「そういう風に考えたこともなかったよ。俺は祖母を看取ってあげられなかったことを悔やんでばかりだった。この2年会いに行くこともできなかった俺を後悔していた。どうして顔を見にいかなかったんだろう、と。もう歳なのに、遠くない未来こういう可能性があるってことは分かっていたようで分かっていなかったんだ。どこかまだ未来のつもりでいたんだ。」
「そうですね、人が亡くなるのは誰にもわからないですね。今日この後かもしれないし、50年後かもしれない。だからこそ後悔しないように生きなければならないのかもしれないですね。でも、人に言うのは簡単だけど実際行動するのは難しいことですよね。」
「そうだな。人はいつ死ぬかなんてわからないな。だからこそ後悔しないよう生きなければならないな。俺はもうこんな思いはしたくない。もう後悔したくない。」
「そうですね。お互い悔いのない人生を過ごせたらいいですね。」
「今日君が声をかけてくれて良かった。いや、昨日君がハグをしてくれてよかった…。」
「そんな飲み方したらダメですよ。」
「分かってる。けど…気持ちの整理がつかないんだ。」
彼はきっと何かあったのだろう。
昨日教会で泣いていたのもこのこと?
昨日会ったばかりの彼に聞き出すようなことはできず私は黙ってしまった。
「1週間前に祖母が危篤だと連絡が来たんだ。俺は母を早くに亡くし祖母に育てられたから祖母は俺にとって母のような人だった。」
ポツポツと話し始める彼に耳を傾け、頷く。
「祖母は俺を誇りだと言ってくれててさ。一流のホテルで働き始め、海外赴任までする俺を誇りだと言ってくれてた。それに応えなければ、と俺も頑張ってきた。授業参観も、面談も忙しい父に代わり祖母がきてくれていた。行事も全て祖母だった。」
「…」
「そんな祖母が危篤だと連絡が来たのに俺は動けなかった。仕事はもちろんあるし、何せニュージーランドだ。距離がある。そう思って動けずにいたら3日後亡くなったと連絡がきた。俺があの時すぐに帰る決断をしていれば間に合ったんだ。祖母は3日間待っていてくれたのに俺が…」
とまた苦悶の表情を浮かべ目元には涙が流れている。
男性でここまで泣けるなんてなんて気持ちの優しい人なんだろう。
「ごめんな、こんな話で。しかも毎回泣いていて情けないよ。」
「そんなことないです。泣きたい時に泣かないのは間違ってます。昨日も言いました。おばあさまのこと大切にされてたんですね。」
「そうだな、2歳の頃から育てられていたから返って母の顔を知らない。祖母は俺に母がいないことで辛い思いをしないよういつも支えてくれていた。」
「そうなんですね。本当に優しいおばあさまだったんですね。そんなおばあさまのことを悼んで何が悪いんですか。最後に会えなかったのは残念ですがおばあさまにとってあなたは誇りだったんですよね。きっとわかってらっしゃったと思いますよ。こんなにおばあさまのことを思って泣いてると知って返って心配されてると思いますよ。」
「…」
「おばあさまはあなたにとってのお母さんなんですよね。だからあなたが悲しんでくれていること気持ちを嬉しいと思うけど、それよりもとっても心配されてると思います。最期に会えなかったことをこんなに苦痛に思わせてしまった、と。」
「そうか…。」
「お母さんって子供のことをいつも考えてますよね。子供を不幸せにしたいと思うお母さんはいませんよ。だからお母さんの代わりだったおばあさまもそうでしょう。」
「そういう風に考えたこともなかったよ。俺は祖母を看取ってあげられなかったことを悔やんでばかりだった。この2年会いに行くこともできなかった俺を後悔していた。どうして顔を見にいかなかったんだろう、と。もう歳なのに、遠くない未来こういう可能性があるってことは分かっていたようで分かっていなかったんだ。どこかまだ未来のつもりでいたんだ。」
「そうですね、人が亡くなるのは誰にもわからないですね。今日この後かもしれないし、50年後かもしれない。だからこそ後悔しないように生きなければならないのかもしれないですね。でも、人に言うのは簡単だけど実際行動するのは難しいことですよね。」
「そうだな。人はいつ死ぬかなんてわからないな。だからこそ後悔しないよう生きなければならないな。俺はもうこんな思いはしたくない。もう後悔したくない。」
「そうですね。お互い悔いのない人生を過ごせたらいいですね。」
「今日君が声をかけてくれて良かった。いや、昨日君がハグをしてくれてよかった…。」