終わらない夢 II





「あそこだ!!捕らえろ!!!」
「チッ。優奈、こっちだ」
「えっ?」
大きな声と共に、ロンに連れられていく。
なに?何がどうなってるの?


「まだ近くにいるはずだ!探せ!」
「はっ!」
路地裏に入ったところで、どうやら撒けたらしい。…軍隊のような格好をしてるけれど。
「ろ、ロン?」
「どうした?」
「あの人たちは?」
「エデンの軍だ。目立つから分かりやすいんだよな」
「エデン?」
「エデン教っていう宗教だよ。ここらはエデンが支配してるらしいな」
「なに、どういうこと?なんで逃げるの?」

「エデン教は、エデンっていう神様が、全ての始まりだと信じる宗教で、元々この国には無かったんだ。でも、この国が鎖国を解いて海外との交流を深めた時、入ってきた。それが全国を支配するきっかけ。でも、その中にも入りたくないやつらがいた。だいたいは若者だったらしいけど。でも、エデンが力を持つにつれて、歯向かうやつを皆殺しにしていった。そのうち、そいつらを『リベリオン』と呼ぶようになった」

エデンの名前は、聞いたことがあった。国内でもかなり力を持っていることも知ってはいた。…でも、後半のことは知らなかった。
「つまり、ロンは…」
「ああ、リベリオンだよ」
とは言われても、私には何もできないのだけれど。情勢がどうとか、内部のことは何も分からないし。
「あのとき、顔を見られたかもしれない。それに、近くにいた優奈が残ったとしたら、拷問をさせられたと思うぜ」
「拷問?」
「…あいつら、神を信じて未来を導くとか言いながら、人を思い通りに動かしたいだけなんだ」
「そんな…」
「だから、俺たちが動いてる。ふだんは隠れてるけどさ」
「そうなの?」
「ああ。でも、今日は油断したよ。まさかここまで来るとは思わなかった」
…まさか、ロンの瞳が紺色なのって、そういうこと?
「目の色が紺色なのは…」
「リベリオンのあかし。その気がなくても、やつらからは敵と見なされる」
…私、元から紺色なんだけど。それは大丈夫なのかな。ひょっとして、命狙われ続けてた?
「たまに変な男の人が話しかけてきたのって」
「やつらの仲間だろうな。学校の中じゃ、ヘタな行動はできないから、甘くされてきたんだろ」
ずっと狙われていたんだ…。
…待って、殺されるかもしれないことって、前もなかったっけ。だれかに殺されそうになった記憶がある。
「あれ、ロン!デート中?」
「そんなんじゃねえよ、ヲル」
突然現れた同い年くらいの女の子。ヲルと言うらしい。
見たことがある女の子。どこで見たっけ?
「へえ、ロンのガールフレ……」
「どうした?」
「……優奈ちゃん?」
「へ?」
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