終わらない夢 II
「あ、そうだ優奈ちゃん!」
「うん?」
「買いたいものがあるんだけど、一緒に来てくれない?」
「いいよ」
「やった!こっちだよ」
連れられていくのは、神社の奥のほう。敷地内なのかどうかも分からない、木々の間を進んでいく。ここどこ?
出たのは歓楽街のような場所だった。とは言っても閉まってる店が多く、夜の街という雰囲気が感じ取れた。
「すごい…」
「ここ、いろんな名前があるんだよ。裏の街とか、欲望の街とか」
総じて裏社会のような名前なのは、そういうこと。
「本当の名前は?」
「…スラム街」
「スラム?」
「そう。昔、この一帯はここが中心だったのに、神楽組が権力を持ち出してからは、迫害されていったんだ」
…神楽組?
「ああ、神楽組っていうのは—」
「雪?」
「……覚えてる?」
「繋がりが、あると思う、たぶん」
なんだっけ。いろいろ思い出せそうなのに、もう少しのきっかけが無い。
私は…何を経験したんだろう。
「…思い出せないや。行こ、買いたいものあるんでしょ?」
「う、うん。こっち!」
見渡せば、本当に様々な店が見える。食事処、薬屋、土産屋、ホテル、ジム、何かよく分からない店…。昔、ここで栄えただろう跡が、今でも見て取れる。
「ここだよ」
「…ジム?鍛えるの?」
「まあ、そんな所かな」
「買いに来たんじゃないの?」
「買い物もするけど、体も動かすんだよ。ほら入ろ!」
「え、ええ…」
中は本格的なジム。鍛えるための器具とか、なんかいろいろある。全く分かんない。
「瑠夏ちゃん!今日もトレーニングかい?」
「うん。よろしくね。それと、この子も」
「わ、私も!?」
そんなナチュラルに私を出さないでほしい…。
「友達かい?」
「そ!優奈ちゃんって言うんだよ。かわいいでしょ」
「ふむ…悪くない。優奈ちゃん、過去に何かやっていたのかな?」
「い、いや、何も」
運動なんて、できるわけない…ましてや筋トレなんて…。
って思ってたのに。
「優奈ちゃん、私よりすごいよ!」
「優奈ちゃん!才能ある〜!」
「さっすが私の優奈ちゃん!」
「ファイト!優奈!ファイト!優奈!」
「いや、さすがにやめて…」
なんで私はちゃっかり筋トレをしてるの?しかもけんすいと腕立て伏せ…どっちも腕がもげちゃいそうなんだけど。
ていうか、買い物しに来たんじゃないの…?
「優奈ちゃん。ナイスファイトだったよ。また来てくれ」
「……はい」
「それでは、これを君に授けよう。まずは、ここの仲間というあかしだ」
「コイン?」
片面には大きく『筋肉』と書かれ、もう片面には『マッスル』と書かれている。
「このコインを見せれば、この街のどんなものでも半額で買えるぞ。お得なコインだから、無くさないようにな」
「へえ…ありがとうございます」
「それともうひとつ。これはこの俺が認めた者にしか渡さないシロモノだ」
「わ、かわいい…ネックレス?」
白銀を基調に、薄いピンクやオレンジなどの装飾品がいくつか飾られたネックレス。思ったより派手じゃないし、お出かけの時にもつけていけそう。
「ピンチの時は、お守りになってくれるぞ」
「ピンチのとき?」
「ああ。ピンチになれば、必ず!」
「…?ありがとうございます!」
なんだかよく分からない話だったけど、お得なものがもらえたし、ラッキーだったかも。
「どう?いいところだったでしょ?」
「うん。楽しかった!」
でもひとつ忘れてるんだけど。
「瑠夏ちゃん、買い物してないよね?」
「へへ…寄り道しちゃった」
「え…」
「どうしても優奈ちゃんが運動してるとこ見たかったの!ごめんね」
「なにそれ!?」
「うん?」
「買いたいものがあるんだけど、一緒に来てくれない?」
「いいよ」
「やった!こっちだよ」
連れられていくのは、神社の奥のほう。敷地内なのかどうかも分からない、木々の間を進んでいく。ここどこ?
出たのは歓楽街のような場所だった。とは言っても閉まってる店が多く、夜の街という雰囲気が感じ取れた。
「すごい…」
「ここ、いろんな名前があるんだよ。裏の街とか、欲望の街とか」
総じて裏社会のような名前なのは、そういうこと。
「本当の名前は?」
「…スラム街」
「スラム?」
「そう。昔、この一帯はここが中心だったのに、神楽組が権力を持ち出してからは、迫害されていったんだ」
…神楽組?
「ああ、神楽組っていうのは—」
「雪?」
「……覚えてる?」
「繋がりが、あると思う、たぶん」
なんだっけ。いろいろ思い出せそうなのに、もう少しのきっかけが無い。
私は…何を経験したんだろう。
「…思い出せないや。行こ、買いたいものあるんでしょ?」
「う、うん。こっち!」
見渡せば、本当に様々な店が見える。食事処、薬屋、土産屋、ホテル、ジム、何かよく分からない店…。昔、ここで栄えただろう跡が、今でも見て取れる。
「ここだよ」
「…ジム?鍛えるの?」
「まあ、そんな所かな」
「買いに来たんじゃないの?」
「買い物もするけど、体も動かすんだよ。ほら入ろ!」
「え、ええ…」
中は本格的なジム。鍛えるための器具とか、なんかいろいろある。全く分かんない。
「瑠夏ちゃん!今日もトレーニングかい?」
「うん。よろしくね。それと、この子も」
「わ、私も!?」
そんなナチュラルに私を出さないでほしい…。
「友達かい?」
「そ!優奈ちゃんって言うんだよ。かわいいでしょ」
「ふむ…悪くない。優奈ちゃん、過去に何かやっていたのかな?」
「い、いや、何も」
運動なんて、できるわけない…ましてや筋トレなんて…。
って思ってたのに。
「優奈ちゃん、私よりすごいよ!」
「優奈ちゃん!才能ある〜!」
「さっすが私の優奈ちゃん!」
「ファイト!優奈!ファイト!優奈!」
「いや、さすがにやめて…」
なんで私はちゃっかり筋トレをしてるの?しかもけんすいと腕立て伏せ…どっちも腕がもげちゃいそうなんだけど。
ていうか、買い物しに来たんじゃないの…?
「優奈ちゃん。ナイスファイトだったよ。また来てくれ」
「……はい」
「それでは、これを君に授けよう。まずは、ここの仲間というあかしだ」
「コイン?」
片面には大きく『筋肉』と書かれ、もう片面には『マッスル』と書かれている。
「このコインを見せれば、この街のどんなものでも半額で買えるぞ。お得なコインだから、無くさないようにな」
「へえ…ありがとうございます」
「それともうひとつ。これはこの俺が認めた者にしか渡さないシロモノだ」
「わ、かわいい…ネックレス?」
白銀を基調に、薄いピンクやオレンジなどの装飾品がいくつか飾られたネックレス。思ったより派手じゃないし、お出かけの時にもつけていけそう。
「ピンチの時は、お守りになってくれるぞ」
「ピンチのとき?」
「ああ。ピンチになれば、必ず!」
「…?ありがとうございます!」
なんだかよく分からない話だったけど、お得なものがもらえたし、ラッキーだったかも。
「どう?いいところだったでしょ?」
「うん。楽しかった!」
でもひとつ忘れてるんだけど。
「瑠夏ちゃん、買い物してないよね?」
「へへ…寄り道しちゃった」
「え…」
「どうしても優奈ちゃんが運動してるとこ見たかったの!ごめんね」
「なにそれ!?」