下恋
「もう、大丈夫だよ」
「…うん。」
ゆうりはまだ少し震えている声で、小さく俺に言った。
「ありがとう」
俺は首を左右に振った。
「ごめんなさい。…迷惑かけて」
ゆうりはペコリと頭を下げた。
「いや。俺の方こそ、勝手に抱き締めたりしてごめん 」
俺も頭を下げたため、ゴツンッとぶつかってしまった。
「あ、ごめんなさい」
「いや、こっちこそ」
「…プッ!あはは」
「え、は、なに!?」
ゆうりは突然笑い出した。
どうしたんだ?
何で笑ってんの!?
「だって、私達『ごめん』しか言ってないんだもんっ!!」
ゆうりは相当ツボに入ったのか、お腹を押さえながら笑っている。
「な、だって…!」
反抗できねぇ!
少したってから、ゆうりは落ち着いたのか深呼吸をした。
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