涙の涸れる日
 同じ頃、田所由布子の所にも、弁護士事務所からの封書が届いた。

「何これ?」
 弁護士事務所に来いって何?
 高梨佑真の離婚に私は関係ないわ。

 冗談じゃない。行くもんですか。

 由布子は弁護士事務所からの呼出状に応じなかった。

 その後、内容証明が届く。

 このまま連絡もないのであれば、慰謝料五百万円を請求する訴訟を起こします。という物だった。

「はっ? 五百万? 何で私が……」

 元々、妻帯者である高梨佑真に迫り、不倫関係を持ったのだから、当然慰謝料を請求されるのだが。

 どこまでも自分勝手な女には常識は通じない。

 
 後日、裁判所からの通知が来る事になる。

「訴状」
「口頭弁論期日呼出状及び答弁書催告状」

 由布子は答弁書も送付せず……。

 後に預貯金を差し押さえられる事になる。

 幸い? 結婚の予定も相手も居ない彼女の預貯金額は、五百万円を上回っていた。


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