涙の涸れる日
 ニューヨーク?

 英会話すらまともに出来ない俺がニューヨークに転勤して営業部の仕事が出来るのか?

 営業部仲間には、羨ましいだの、流石だの言われたが……。

 正直、不安しかない。



 直ぐに今抱えている仕事を後輩の榎本に引き継ぐようにと、佐田部長から言われた。

 榎本を連れて得意先を周る。

 引き継ぎが終わった日……。
 俺は一人で飲みに出掛けた。

 何でニューヨーク?

 そこで結果を出す事が出来れば昇進もあるという事か?

 いや。一人でニューヨークで生活するのさえも不安しかない……。

 その夜は納得出来ずに、浴びる程に酒を飲んだ。どうやって店を出たのかさえ思い出せない……。



 朝、目が覚めて天井に違和感を覚える。
 
 引っ越したばかりだが……。
 何かが違う……。


 ベッドで裸で寝ている……。

 そして隣には見知らぬ女がやはり裸で眠っていた……。

 
 ホテルで目覚めたと理解した俺は頭を抱えた……。

 何やってるんだ……。


 ホテル代をベッドサイドに置きスーツを着て部屋を出た。


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