涙の涸れる日
 今夜は久しぶりにお祖母ちゃんとお布団を並べて敷いて寝た。

「紗耶はいくつになったのかしら?」

「二十六歳」

「まだまだ人生これからね。お祖母ちゃんは今年、七十三歳になるわよ」

「えっ? そうなの? お祖母ちゃん若い」

「若いお弟子さんたちと一緒に居るからね」

「お茶を教えてるのも若く居られる秘訣かな?」

「そうかもしれないわね。感謝しなきゃね」

「お祖母ちゃん、長生きしてね」

「そうね。紗耶が幸せになるのを見届けないとね」

「私は……どうかな?」

「長く生きてるとね、色んな事があるものよ。良い事も、そうでない事もね。でもみんないつかは天国に行くの」

「そうだね」

「その時が来たら、みんなに感謝して逝きたいと思うのよ。どんな辛い事も、それが無かったら私の人生じゃなくなるの」

「うん」

「人を恨んで憎んで生きるより、幸せな事に感謝して生きていきたいと思うわ」

「私は、まだそこまでは思えないかな……」

「少しずつで良いのよ。周りの人達の幸せを願えるようになりたいわね」

「お祖母ちゃん。私、ここに来て良かった。ありがとう。いつまでも拘るの止める」

「そうね。それが良いわ。それでこそ私の紗耶よ」

「うん」

 紗耶は一週間をお祖母ちゃんの家で過ごして見違える程に元気になって帰宅した。


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