涙の涸れる日
 みんな仕事終わりで来てくれるのだから……。

 紗耶は早目に着いて待っていた。

「紗耶、どうしたの? 急に飲み会なんて、びっくりするじゃない」
樹里が最初に現れた。

「うん。ちょっと話したい事があって……」

「そう」

 すると間もなく里香と桜子。
「今、そこで会ったの」
「紗耶が招集掛けるなんて珍しいね」

 予約してあった個室に、みんなで座った。

「何にする?」

「ビールで良い?」
ビールと料理も適当に注文する。

「飲み会の前に報告があるの。私、本多紗耶に戻りました」

「はっ?」
「えっ?」
「何で?」

「離婚したの……。その報告をしようと思って」

 三人共、絶句してる……。

「ねぇ、聞いても良い?」

「うん」

「何で離婚になるの?」

「そうよ。あんなにラブラブだったじゃない……」

「他に女の人が居たの……」

「嘘。えっ? 本当の話?」

「うん」

「ねぇ、いつ?」

「五月の末からマンションを出て、七月には離婚届が受理されたの」

「紗耶」
隣に座ってた樹里が抱きしめてくれた。
「辛かったね。知らなくてごめんね」

「ううん。もう吹っ切れたから」

「相談も、出来る状況じゃなかったんだね」

「うん。突然の電話で……全てが終わった感じ」

「紗耶を泣かせたら許さないって言っておいたのに……」

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