涙の涸れる日
紗耶との出会い大学時代【回想】
紗耶を初めて見たのは大学の入学式。
友達二人と楽しそうに話す紗耶がなぜか気になって、自分でも意識しない内に彼女を目で追っていた。
同じ英文学科だと知り、殆ど同じ講義を取っていたので、顔を合わせる事も自然に増えて会釈くらいはするようになる。
英語の講義では、いつも一人で居る彼女となんとなく話すようになっていた。
「本多紗耶です。よろしく」
隣の席になった時、彼女は笑顔でそう言った。
「佐伯煌亮です」
「こうすけってどんな字を書くの?」
と聞かれて説明すると
「素敵な名前だね」
と言って微笑む彼女に好意以上の気持ちを持っていると気付かされた。
それからは何故かいつも席は隣で、高校生の時にイギリスに留学していたと話すと英語の分からない所は全て僕に聞きに来るようになった。
甘え上手なのか、懐かれてるのか、僕には良く分からなかったが……。
同じ英文学科の桜子とも仲良くなって、紗耶の高校時代からの親友の樹里と里香とも、何故か一緒に居る事が増えた。
一年の夏休みが来て、何処かに行きたいと四人が言うから、僕が車を運転して軽井沢の別荘にみんなで行った。
旧軽井沢銀座を散策して買い物したり食べたり、美術館や自然が溢れる湖にも行った。食料品を買い出しして料理も作った。
五人で過ごす時間は賑やかで楽しかった。
佐伯という名前と軽井沢の別荘で、たぶん僕の家の事は分かっただろうと思ったけど、誰もその事に触れる事もなく今までと同じように
「煌亮」
と呼び一緒に居てくれる。
それが僕にとっては楽で心地良い空間だった。
紗耶に対する気持ちが恋心だと確信したのもこの頃だった。
友達二人と楽しそうに話す紗耶がなぜか気になって、自分でも意識しない内に彼女を目で追っていた。
同じ英文学科だと知り、殆ど同じ講義を取っていたので、顔を合わせる事も自然に増えて会釈くらいはするようになる。
英語の講義では、いつも一人で居る彼女となんとなく話すようになっていた。
「本多紗耶です。よろしく」
隣の席になった時、彼女は笑顔でそう言った。
「佐伯煌亮です」
「こうすけってどんな字を書くの?」
と聞かれて説明すると
「素敵な名前だね」
と言って微笑む彼女に好意以上の気持ちを持っていると気付かされた。
それからは何故かいつも席は隣で、高校生の時にイギリスに留学していたと話すと英語の分からない所は全て僕に聞きに来るようになった。
甘え上手なのか、懐かれてるのか、僕には良く分からなかったが……。
同じ英文学科の桜子とも仲良くなって、紗耶の高校時代からの親友の樹里と里香とも、何故か一緒に居る事が増えた。
一年の夏休みが来て、何処かに行きたいと四人が言うから、僕が車を運転して軽井沢の別荘にみんなで行った。
旧軽井沢銀座を散策して買い物したり食べたり、美術館や自然が溢れる湖にも行った。食料品を買い出しして料理も作った。
五人で過ごす時間は賑やかで楽しかった。
佐伯という名前と軽井沢の別荘で、たぶん僕の家の事は分かっただろうと思ったけど、誰もその事に触れる事もなく今までと同じように
「煌亮」
と呼び一緒に居てくれる。
それが僕にとっては楽で心地良い空間だった。
紗耶に対する気持ちが恋心だと確信したのもこの頃だった。