涙の涸れる日
 就活の時期が来た。

 僕は父親の会社に入る事が決まっている。

 里香は母校の女子校の国語教師になるらしい。

 樹里は大手食品会社に決まった。

 桜子は母親の経営する有名俳優やタレント、モデルを抱える芸能事務所にマネージャーとして入社する。

 紗耶は父親が社長を務める本多不動産に入社し、父親の第二秘書になると言った。

「就活もしないで、秘書検定も取ってないのになぁ」
と言う紗耶に

「紗耶は紗耶らしく頑張れば良いんじゃないか?」
と言うと
「そうだよね。うん。ありがとう」
といつもの笑顔を見せた。

 僕だって就活はしてない。偉そうな事は言えない。

 入社してから御曹司だから……。
 特別扱いされているから……。
とか誰にも言わせないように仕事で結果を出し納得させれば良いと思っている。


 そして卒業が近付いて来た……。

 学生の内は紗耶の友達というポジションで満足だった。

 告白でもして断られたら友達で居られなくなる。それが怖くて言えなかった。


 卒業して就職して落ち着いたら……。
 と思っていた……。

 そして僕たちは卒業した。


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