涙の涸れる日
本当の幸せ

煌亮の気持ち

 翌日。約束通り煌亮は九時少し前に迎えに来てくれた。

 シルバーメタリックのドイツ車に凭れて待っている姿は、やはり人目を引く。

「おはよう」

「おはよう。煌亮は、いつも時間前には来てくれるよね」

「待つのは好きだけど、待たせるのは好きじゃないからね」

「そういう几帳面な所は変わらないよね」

「さぁ、乗って」
ちゃんと助手席のドアを開けて待っていてくれる。

「うん。ありがとう」
助手席に座ってシートベルトを……。

「ここだよ」
煌亮がシートベルトを着けてくれた。

 なんだろう? 
 今、ドキッと胸が音をたてた……。

 煌亮の運転する車は颯爽と走って行く。街中を抜けて高速に乗る。

「きょうは何処に行くの?」

「紗耶に見せたい物があるんだ」

「煌亮のドライブは今迄もハズレは無かったよね」

「ちゃんとリサーチしてるからね」

「昨夜、あれからリサーチしたの?」

「いや。きょう行く所はずっと紗耶を連れて行きたいと思ってた所なんだ」

「そうなんだ。ありがとう。気に掛けてくれて」

 暫く走ってパーキングエリアで休憩する。

「暑いから水分摂りたいね」

「じゃあ、水かスポーツドリンクかな?」

「ううん。ソフトクリーム」

「ソフトクリームじゃあ水分補給にならなくないか?」

「だって食べたいから……」

「はいはい」

「今、馬鹿にしたでしょ?」

「馬鹿にはしてない。パーキングエリアのソフトクリームが美味しいのは確かだから」

 結局、ベンチに並んで座ってソフトクリームを食べてる二人……。

「ミルクが濃厚で美味しい。幸せだなぁ」

「紗耶の幸せそうな顔を見てるだけで満足だな」

「うーん。美味しかった。あっ、でもスポーツドリンクも買って来る」

「後ろに自販機があるよ」

「煌亮も要る?」

「うん。頼む」

「了解!」



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