涙の涸れる日
「煌亮……でも私は……」

「バツイチなんて関係ないよ」

「そういう訳にはいかないよ。周りはそんなに好意的に見てはくれない」

「家の母さんもバツイチなんだ」

「えっ?」

「二十歳の時に望まれてある名家に嫁いだ。二年間子供が出来なくて跡継ぎも産めないならと離縁された」

「そんな……。えっ? 煌亮は四男だよね?」

「そうだよ。子供が出来なかったのは母さんのせいじゃなかった」

「お母さま、お父さまと結婚して幸せになれたのよね。お父さま優しい素敵な方なのね」

「僕も父さんの息子だから、紗耶を幸せにしたいと思ってるよ」

「煌亮の気持ちは凄く嬉しい。でも……。まだ私は……」

「いくらでも待つよ。八年も待ったんだ。紗耶が僕の隣で幸せで笑っていてくれるなら、僕はどんな事でも頑張れるよ」

「少し考えさせてくれない?」

「勿論だよ。でも僕は紗耶を諦めるという選択肢は無いからね」

「煌亮……」

「お腹空いたな。何か美味しいもの食べに行こうか」

「うん……」


 二人で昼食に塩ほうとうと鰻の白焼きを食べて、お土産屋さんを巡って

「そろそろ帰ろうか? 遅くなると心配掛けるからね」

「うん。そうだね。ありがとう」

 都内に入ってから見付けたパスタのお店で、夕食も済ませた。

 私はバジルのパスタ、煌亮はボンゴレ。


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