涙の涸れる日

本気で

 それから二週間に一度、紗耶を誘って出掛けるようになった。

 水族館、動物園、海、また美術館にも……。

 紗耶の笑顔に癒やされて、一緒に居ると心が浄化されたように、俺のような奴でも優しい気持ちになれる気がしていた。


 考えてみれば、中学生の頃に急に背が伸びてから、女子高生たちに誘われるようになった。

 いつも周りには女の子がたくさん居て、まるで取り合うように誘われた。
 女の子に不自由した事もなく、当たり前のように色んな女の子と短いお付き合いを繰り返していた。

 それをいけない事だと思う神経すら麻痺していたんだろう。
 


 紗耶と出掛けるようになって半年経った。
 こんな健全なお付き合いなど今までした事もなかった。

 でも一緒に居れば居るほど、どんどん紗耶に惹かれていく。
 誰にも渡したくない。
 俺だけを見て欲しい。

 大切にしたい。
 紗耶の喜ぶ顔が見たい。


 
 軽いお付き合いの告白なら数え切れないくらいして来た。


 でも本気で紗耶とずっと一緒に居たいと思い始めていた。自分でも驚いたくらいだ。

 俺も普通の男だったんだと初めて自覚した。


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