涙の涸れる日
「紗耶……」

「なに?」
綺麗な長い髪を靡かせて振り向いた。

「俺と付き合ってくれないか?」

「えっ? 付き合ってるでしょ。今も」
不思議そうな顔をする。

「そうじゃなくて……。真面目に俺との将来を考えてくれないか?」

「それって……」
見るからに戸惑ってる。

「紗耶と将来を見据えたお付き合いをしていきたい」

「先輩?」
この上目遣いが堪らない。

「紗耶が好きだ。ずっと傍に居てくれないか?」

「先輩……」
恥ずかしそうに俯いた。

「俺みたいな男じゃ駄目かな?」

「そんな訳じゃ……」
困っているのが手に取る様に分かる。

「大切にしたい。紗耶だけなんだ。こんな気持ちになったのは……」

「私なんかで良いんですか?」
真っ直ぐ俺を見詰める。

「紗耶じゃないと駄目なんだ」

「はい……」
少しだけ頷いてくれた。

「いいのか?」

「私で良いのなら……」
頬を染めているのが良く分かる。

「ありがとう」

「…………」
どう応えれば良いのか悩んでる顔が可愛過ぎる。

「紗耶、抱きしめても良いかな?」

「えっ? あの……先輩?」
そんなに焦らないで欲しいな。

「先輩は止めないか?」

「じゃあ、何て呼べば……」
考え込む姿に迄、やられてる俺は……。

「佑真」

「えっ……。でも……」
目線が泳いでるよ。

「はい。佑真って呼ぶ練習だ」

「……佑真」
恥ずかしそうに呼んでくれた。

「はい。良く出来ました」
紗耶をそっと抱きしめた。

 幸せ過ぎて……。
俺の鼓動が聞こえてしまうんじゃないかと心配なくらいドキドキしていた。

「紗耶」

「佑真……」

「愛してる」


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