涙の涸れる日
 ウェディングパーティーは出席してくださった皆さんの心からの祝福と温かい拍手に包まれて華やかに進行していった。

 マリッジリング交換の後、誓いのキスの時は拍手が鳴り止まず一番盛り上がった。

 紗耶は恥ずかしそうにしていたが……。

 祝辞を頂き、シャンパンで乾杯した後は、食事も、お喋りも自由にして頂いた。

 花嫁の紗耶も席にじっとしておらず、俺のエスコートで出席してくださった招待客お一人お一人と会話を楽しんでいた。

 佐田部長や同僚とも、にこやかに会話する紗耶の社交的なスタイルは皆さんに好感を持たれたようで

「良い人を見付けたな」
と言ってもらえて俺も鼻が高かった。

 兄の翔真を紹介すると
「北海道からありがとうございます」
紗耶の笑顔に
「お前には勿体ない」
と言われ……。
まあ、そうなんだが……。

 俺の両親とは
「紗耶さん、凄く綺麗よ。佑真の事、宜しくお願いしますね」
 母親は、すっかり紗耶のファンになっている。

 父親には
「お父さま、これから宜しくお願いします」
紗耶の言葉に
「こちらこそ。娘が出来たようで嬉しいよ」
とあのカタブツの父親に言わせる程……。

 紗耶の父親の会社で仲良くなった友人も
「素敵です。おめでとうございます」
「羨ましい。私も早く花嫁になりたい」
紗耶にとても好意的な言葉をくれた。

 紗耶の高校時代の友人たちも
「カッコいいご主人で羨ましい」
「紗耶が一番に結婚するなんて驚いた」
と言われ紗耶は
「私が一番驚いてるの」
と笑っていた。

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